今回は、控訴審の第2の争点について見ていきます。



3.「本件投稿」ついて


原判決では、「本件各投稿」について次のように判断しています。



本件各投稿の内容が真実と信ずるにつき、相当の理由があるということもできない。(P21)

市長として職務上当然に尽くすべき注意義務を尽くしておらず、本件投稿は、国家賠
償法にいう違法な行為であると言える。(P23)




この原判決に対して、控訴理由書では次のように主張します。



本件投稿は、10月20日の議論の場をインターネット上に移して原告の意見を問い、結果として原告が応えなかったもので、市長として合理的な裁量の範囲である。



つまり、市長の11月以降の一連のXへの投稿は、10月20日の議論の場を引き継いだもので、市長の裁量の範囲で名誉棄損には当たらない、と主張するのです。



では、原告石丸伸二の11月8日のTwitterを紹介します。



(略)最大の問題は、「議会を敵に回すと政策が通らなくなりますよ」という山根議員の発言です。



このポストは、「山根議員が恫喝発言をした」と主張しており、10月20日の議論の場(市議会の果たす役割について意見を表明し、これに対する原告の意見を求めたもの)を引き継いだものではありません。

明らかに、「山根議員が恫喝発言をした」と虚偽の主張を行い、同議員を誹謗中傷し名誉を棄損しており、市長として合理的な裁量の範囲を逸脱しています。

控訴理由と真逆の事実を示しています。これが第2の争点になります。



以上みてきたとおり、この控訴理由書は、都合のいいところをつまみ食いした、小理屈を展開したものになっています。



市の顧問弁護士も、このような控訴理由ではとても勝訴できるとは思っていないでしょう。



市の顧問弁護士という立場上、依頼主(市長)の意向に沿って不承不承でも書かざるを得なかったことが透けて見える控訴理由書です。