今回は控訴理由書で指摘された「事実誤認」を見ていきます。控訴審の審理はこの「事実誤認」を争点にして行われます。

控訴審の第1の争点を見ていきます。



2.「本件議会内発言」について

原判決では、「本件議会内発言」について、次のように判断しています。



(市長の)本件議会内発言により適示された事実が真実であるとは認められない。(P20)

(本件議会内発言は)被告石丸の市長としての裁量を逸脱したものといえ、国家賠償法にいう違法な行為があったものといえる。(P23)




この原判決に対して、控訴理由書では次のように事実誤認があると主張します。



本件発言(恫喝発言)を原告がしたとする表現ではなく、また、「恫喝」という表現は、受け取り方の問題もあり、脅かすような意図はなかったかもしれないと留保をつけながら、市議会の果たす役割について意見を表明し、これに対する原告の意見を求めたものである。



原告の意見に否定的な国民が多く表れたことは、原告の政治家として自らが引き受ける結果である。

また、原告の社会的評価の低下は、報道やインターネットの影響によるものであり、報道やインターネットの表現による名誉棄損の問題である。





この控訴理由の前段では、被告石丸伸二の本件議会内発言について、「恫喝発言についての言い訳」を並べ、「市議会の役割について意見を表明し、原告の意見を求めた」もので、「違法な行為はない」と主張します。



しかも、後段では、「山根議員の誹謗中傷」が広まったのは山根議員が自ら招いたもので、報道やインターネットの表現が名誉棄損を招いたと主張し、山根議員や報道・インターネットに責任を押し付けています。

ちなみに、この理屈によると、一番罪深いのは広島ホームテレビだということ
になります。



控訴理由書では以上のような論理立てをし、「本件議会内発言」において「被告が原告の名誉を棄損した事実はない」と主張しています。

これが、控訴審の第1の争点になります。



Twitterで散々「恫喝だ、恫喝だ」と騒ぎたて、当日の全員協議会にマスコミまで招き
入れて、事を大きくして嬉々とした市長は何ら責任を問われないのでしょうか。



市民の皆さんもすでにお分かりのように、このような主張を「詭弁を弄す」というのです。



〔注 本件議会内発言〕 10月20日の全員協議会での市長の発言