前号で、今回の専決処分の審議においては、「控訴の是非」について審議される必要があったことについて触れました。



思い出されるのは、昨年6月の(株)良品計画の道の駅への出店に係る専決処分の議会の審議です。

「執行部が提示した出店計画及び予算」と「専決処分の理由=時間的余裕がない」ことの両方について審議しています。つまり、


① 専決処分した事案((株)良品計画の道の駅への出店計画及び予算)の是非


② 専決処分をした要件(時間的余裕がないこと)の該当性


について議論したことを忘れたのでしょうか。

つまり、議会は①と②を審議して、専決処分の是非を判断したのです。



では、なぜ市長と議会は「控訴の是非」について審議しようとしなかったのでしょうか。


① 市長の立場ははっきりしています。

市長の答弁や記者会見からも、当時の全議員が否定している「恫喝発言の有無」を議会という場で議論させない、「専決処分の手続き=時間的余裕がなかった」ことの議論のみで済ませれば、専決処分が否決されても専決処分の効力は残ることとから、なんら問題はないという姿勢が見えます。

つまり、控訴さえできればよいということです。



② 市長のこうした姿勢を前にして、少なくとも議員は、次の主張はすべきだったはずです。



当時の議員全員が「威圧するような発言はなかった」と確認し、判決でも「原告が本件発言をしたものと認めることはできない」とされています。

したがって、議会としては恫喝発言が認められない以上、「恫喝発言があった」と強弁して控訴することを認めることはできません。

さらに、「恫喝発言が認められない」以上、税金を使って無益な裁判を続ける意味はありません。

したがって、議会は「控訴の取り下げを求める決議」を行うべきだったと思われます。



今回の判決は、「市長が、市長の職務を行うにあたり名誉を棄損するという違法な行為をした」という安芸高田市としてはきわめて不名誉な事件です。

当然市民の市長に対する怒り、不信感は深いものがあります。

こうした状況を考えると、議会の意思として「控訴の取り下げを求める決議」をし、市長に突きつけることは当然のことであると考えます。



今回の1審が結審したときに、原告側の弁護士が私たちに次のように言われました。(要点)



ここまで市長を好き勝手、やりたい放題にさせた議会の責任は大きい。




議会は、ひるむことなく適時的確に、そして毅然として対処することが求められています。



市民は、それを期待しているのです。