本日(2月14日)臨時議会で、「恫喝発言でっち上げ裁判」の控訴を専決処分で行ったことの是非を問う審議が行われました。

想定通り否認されましたが、熊高議員を除く全議員が反対したことには少し驚きました。

さすがの市長支持派議員も、これには賛成できなかったようです。

さて、今回の議会での議論について、議会への期待を込めて何点か言及します。



(1)議会では、「専決処分を行ったこと=専決処分という手続き」の是非に議論が終始しました。


今回の専決処分は、地方自治法第179条1項「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないことが明らかであると認められるとき」に該当するかどうかが問われました。

本来専決処分は「議会の議決権を制限するものであり、その行使は限定的であるべきである」ことからして、今回の専決処分は、「時間的余裕がないとは言えず、執行部は議会を招集する努力を欠いていた」という判断がなされ否決されたものです。

この点については、妥当な判断であったと言えます。



(2)一方で、明らかに見落とされた審議がありました。

今回の事案については、地方自治法第96条第1項12号の規定により、本来「控訴が妥当かどうか」ということが審議され、議決される必要があったのです。

それが、今回の審議では、「専決処分の手続きの是非」だけ議論され、「控訴が妥当かどうか」については、一切審議されませんでした。



専決処分の議会への報告、承認は次の規定によります。



地方自治法第179条第3項 前2項の規定による「処置」については、(略)議会に報告し、その承認を求めなければならない。



この「処置」がなんであるかが問題です。

それを検討します。



かつて「時間的余裕がない」ということを口実に、首長が安易に専決処分をするということが相次ぎ、平成24年に地方自治法の一部改正が行われました。

それは次のとおりです。



条例・予算の専決処分について議会が不承認したときは、長は必要と認める措置を講じ、議会に報告しなければならない。



この改正の考え方は、条例・予算の専決処分が否認された場合、長はそれをそのまま執行するのではなく、「議会の審議を勘案し、条例・予算について必要な措置を講じなければならない」という点に改正され、安易な専決処分に歯止めをかけたのです。

この前提にあるのは、「議会で専決処分した条例・予算について審議されていなければ、議会の判断がわかりませんので、長は必要な措置が講じられない」ということです。

つまり、専決処分に審議については、


① 専決処分した事案(控訴)の是非


② 専決処分をした要件(時間的余裕がないこと)の該当性


について審議し、認否の判断をすることは当然のことなのです。

今回の専決処分の審議では、この「当然のこと」が行われていなかったのです。