本日(1月31日)の記者会見で、市長は議会広報誌「議会だより」発行に係る予算について、「議会だよりの内容が実態と乖離している。正当性が担保できないとして、当初予算に計上しない」と明言し、「議会が市長の求める対応をとるなどの措置をすれば、即座に発行する態勢にしたいと思う」と主張しています。



つまり、「議会だよりが発行できないのは、議会が正当性を担保する是正処置をとらないからだ」と議会に原因を擦り付け、補正予算での対応を匂わせつつ、「議会が是正措置をとらない限り、議会だよりの発行はさせない」と、議会が市長に屈服することを迫っているのです。



しかし、議会はこれまで一貫して「議会だよりに虚偽や間違いは確認できない」としてきただけに、「議会だよりに虚偽や間違いがありました。具体的な是正措置を次のように取ります」と、市長に屈服するような回答など出せるはずがありません。



市長が目論んだとおり、2月下旬からの定例議会は大モメすることになりそうです。



では、市長は、片山元鳥取県知事が「異様なこと」とまで指摘する蛮行をなぜ強行するのでしょうか。

まず、市長が議会だよりの何を問題にしているのか、事実関係から見ていきます。
 



市長は、昨年10月の広報「あきたかた」で、8月15日に発行された「議会だより」の問題点として5点を指摘しています。

紙面の都合がありますので、市長が冒頭に指摘した2点について検討します。


① 山本(数)議員等の発言に「専決処分を満たす事案と認めがたい」などとあるが、審査の中で執行部は具体的に工期や協定のスケジュールを示し、「議会を招集する時間的余裕がない」と判断した理由を説明した。

議員はどう時間があったかを明らかにしておらず、単なる感想に終始している。


② 山本(数)議員の発言に「専決処分をする一方的な執行はない」とあるが、地方自治法によって、執行部の手続きとして認められている。(以下略)



では、市長の指摘に正当性はあるのでしょうか。


①について

市長は、確かに貧弱な資料で「工期や協定のスケジュール」は示しましたが「単に示しただけ」で、地方自治法に定める「特に緊急を要するため議会を招集する時間的余裕がないこと」を議員に説明しきったとは言えません。

また、「議会を招集する時間的余裕がない」ことを説明する責任は、市長にあるのであって議員がそれを明らかにする必要は一切ありません。

市長の認識が完全に間違っています。


②について

専決処分については、議会の議決権を制限することから、地方自治法の規定からしても極めて限定的に行使することが求められます。

「地方自治法によって、執行部の手続きとして認められています」と、専決処分を安易に行使できるとする市長の姿勢は、「法さえも我田引水的にしか理解できない」ことを如実に示しています。



市長が問題点とするのは、市長の一方的な見解に基づいたものであり、議員の主張に反論したものでしかないということです。

むしろ、市長の「専決処分に関する法的解釈」が問題であり、実態と乖離しているのは市長であることがわかります。


市長の独断的な思考や振る舞いこそ、行政を私物化するもので、これこそ大きな問題であることがわかります。