市民の皆さんは、市長が常に口にする「安芸高田市は20年後にはつぶれる」というフレーズは、市長のオリジナルではないことをご存じでしょうか。

これは、2014年5月に増田寛也氏が編著した「地方消滅」の中の「2040年には日本の半数の自治体は消滅しかねない」から借用しているのです。

その後、政府はこの提言を受けて、「地方創生」を提唱し、2014年の改正都市再生特別措置法を制定します。

市長のまちづくりの方向性を示す「コンパクトシティ」も、この措置法の中に出てきます。

残念ながら、これらのフレーズ等は、市長のオリジナルでも先見性を表すものではなく、10年前のカビの生えたものなのです。



そして、この「地方創生」が目的とした「人口減少問題の克服」は、残念ながら成果を上げることはできず、増田寛也氏は1月20日の日本経済新聞において、「今では地方創生という言葉そのものが色あせた感じがする」と述べておられます。



こうした「地方消滅」論や「地方創生」について、京大名誉教授の岡田知弘氏が、すでに2015年には批判され、まちづくり(自治体経営)の在り方として、次のような視点を出されています(市政に関る点について紹介します)。


① 地域経済を形成し、再生産を担う主体は、企業、農家、協同組合、地方自治体等であり、それらによる地域内再投資力の如何が地域経済の持続性を規定づける。


② 優れた地域づくりの展開を見れば、団体自治と住民自治が結合して、はじめて地域づくりが進むことがわかる。



つまり、自治体も投資主体として、地域経済の持続性を図るための政策を展開するとともに、地域づくりを担う市民の主体的な活動を支援し、協働した取り組みが必要だということです。



確かに、日本も安芸高田市も人口減少は大きな問題で、国も自治体も的確な政策を早急に打つべきですが、視点を変えると「悲観に暮れるだけでない」違った見方も出てきます。



北欧4ヶ国の人口は543万人~1055万人ですが、一人当たりGDPは5.1~6.3万ドル(日本は4.2万ドル)です。


労働生産性も日本よりはるかに高い水準にあります。


これを見れば、少なくとも国民一人当たりGDPは国の総人口に関係ないことがわかります。



いろいろな要因がありますので一概には言えませんが、市民の所得水準と地域の活力を持続させる政策の展開は、国だけではなく自治体の責任としても行われるべきで、その可能性は十分あるということです。


行政運営は、人口減少と財政危機を唱え、単純な経常経費の削減の繰り返すのではなく、積極的な政策とのバランスの中で行われるべきなのです。




ところが、広島ホームテレビのインタビューで、市長は、安芸高田市の持続性を確保するためには、「外部の力を借りるしかない」と言い切っています。

市長は「安芸高田市の主役である市内の企業、農家、協同組合、市民団体、市民はあてにしない」と明言したのです。

これほど市民や企業等をバカにした発言はありません。

市長は、市民や企業等を無視して、何をしようとしているのですか。



市民は、大ウソをでっち上げ、SNSで人気取りに興じるだけの市長は必要としていません。