今回は、随意契約事務の進め方を詳しく説明し、前号で触れた市とアキタカターンズの随意契約に係る違法性について説明します。

なお、同社の執行能力や随意契約の是非等については省略しています。



1.設計金額の設定


① 随意契約においても、市財務規則では「なるべく2人以上の者(以下 社)から見積書を徴さなければならない」となっています。


② 安芸高田市では、設計書の作成に当たって不正行為を防ぐために、「3社以上」から参考見積書を取るように指導がなされてきました。


③ それは、1社からだけの参考見積書では、「どうせわが社が受託するのだから、100万円でできるが、150万円の参考見積書を出して儲けてやろう」というようなケースが出てきます。

つまり、1社だけの参考見積では、適正な金額かどうか判断できないだけでなく、場合によっては市に損害を与えることになります。


④ そこで、3社以上から参考見積書を徴すれば、お互いの社が牽制しますので、それぞれの社が妥当とする金額で参考見積書が提出されることになります。


④ 担当課は、 この3社以上から徴した参考見積書を比較、検討して、適正な業務量、単価、設計金額等を定め、設計書を完成させます。


* しかし、アキタカターンズ1社だけから参考見積を徴し、その金額がそのまま設計金額になっています。



2.指名業者等選考委員会での審査


① 指名業者等選考委員会は副市長を委員長にした組織で、随意契約の場合は、随意契約にする理由、参考見積書の徴取、設計金額等が適正であるかを審査します。


② 特に、不正につながりやすい随意契約については、随意契約にする理由、参考見積書の徴取した社数、設計金額については厳しく審査します。


* しかし、指名業者等選考委員会では、本来機能すべきチェックが全くされていません。



3.予定価格の設定、見積、契約


① 決裁権限者(設計金額によって定められている)は、設計金額を参考に予定価格を定めます。

なお、この予定価格は、設計金額もしくはそれより若干低い金額額に設定されます。


② この予定価格は、入札の基準になるもので、この価格を超えて契約することができません。

したがって、入札に当たっては、業者はこの予定価格もしくは予定価格に近い金額で落札できるよう競うことになります。


③ 随意契約の入札に当たる見積りは、この間の指導では3社以上で行い、予定価格を下回る最低価格を見積りした業者と契約することになります。


④ したがって、「設計金額及び予定価格が外部に漏れる」ことは絶対にあってはならないのです。


* しかし、アキタカターンズが当初提出した参考見積金額=設計金額=予定価格で契約しています。



今回明らかになったのは、担当課がアキタカターンズに予定価格を教示するまでもなく、アキタカターンズの意に沿って一連の事務が行われ、契約していることが明らかになったのです。



「官製談合防止法第8条 職員が(中略)、事業者その他の者に予定価格その他の入札等に関する秘密を教示すること(後略)」に反していることがよくわかります。