今回は前回に引き続き、広島ホームTVの太鼓持ち記者のインタビューに答えた市長の話を紹介し、それについて判決ではどうなっているのか見てみましょう。



市長はインタビューで次のように主張しています。



市長 (判決で「恫喝発言」が真実とは認められなかったことについて)厳密に言う
   とそうじゃなかったはずですよ。

   あくまで状況としてそれが確認できなかったという表現になっていたと思いま
   す。

   ポイントとしては「真実相当性」かな。

   (広島ホームTVの映像を引き合いに出して)(山根議員は)発言に関して否
   定していない。

   受け止めて、そういう意味じゃないんですと言っている。

   それに対して裁判官はどう思っているんだという興味は湧きますね。




それでは、判決で触れられた「真実性及び真実相当性」について見てみます。



まず、判決では、市長が提出した「メモ」の証拠性と恫喝発言の存在が否定されています。



(メモは)主として単語を羅列したものに留まり、(略)現実の文言や発言者とは離れて被告石丸独自の解釈や誤った認識が差し込まれている可能性も十分あるところ、被告石丸の本人尋問の結果によっても、上記可能性の存在(独自の解釈や誤った認識)を否定することは出来ない。

これらの点を考慮すると、本件メモは、原告(山根議員)が本件発言をしたことの裏づけとなるものとはいえない。

他に原告が本件発言をしたことを裏付ける的確な証拠が見当たらないことからすると、原告が本件発言をしたものと認めることはできない。




次に、10月20日の発言について、判決では被告石丸の主張は真実でないと判断しています。



原告が、市議会や市議会議員と市長の関係について助言ないし意見を述べたことはうかがわれるものの、本件発言(恫喝発言)のように、被告石丸の行う政策についての賛否を政策の是非ではなく、被告石丸が市議会にとって敵か否かという立場によって決めるという趣旨の発言をしたことまでは認められない。

したがって、本件議会内発言により摘示された事実(被告石丸の主張)が真実であるとは認められない。




以上見てきたように、判決では市長が提出したメモの証拠性は否定され、恫喝発言はなかったとされ、10月20日の全員協議会の市長の主張は真実であるとは認められていません。

残念ながら、「真実相当性」は一切市長の味方をしていないようです。



また、安芸高田市が損害賠償を支払うことの根拠になる国家賠償法上の違法性について、次のように判断しています。



本件議会内発言は、被告石丸の市長としての裁量を逸脱したものといえ、国家賠償法第1条1項にいう違法な行為があったものといえる。


被告石丸の市長としての立場や影響力に鑑みれば、被告石丸は、Twitter上で広報活動をするに当り、市長として職務上当然尽くすべき注意義務を尽くさなかったといえる。

したがって、被告石丸による本件投稿は、国家賠償法第1条1項にいう違法な行為であるといえる。




つまり、被告石丸の行為ははっきりと「違法である」と明言しているのです。