12月16日の中国新聞によると、市長は、選挙ポスター報酬等未払訴訟で、広島高等裁判所が控訴を棄却し約73万円の支払いを命じた判決を不服として、最高裁判所に上告しました。



市内在住の元検察官さんによると、最高裁判所に上告できるのは(本件裁判に関係する部分)、民事訴訟法第312条により、



① 高等裁判所の判決に、憲法解釈の誤りがあること。


② その他、判例違反や重大な事実誤認があること。



の2点になるそうです。つまり、極めてハードルが高いことがわかります。



高等裁判所の判決文(TBSデジタル版を参考)を見る限り、裁判官は、印刷会社が市長からポスター等の印刷を依頼されてそれを納品するまでの経緯を、両者の供述やその間のメールのやり取り、納品書(の記載内容)などの証拠をつぶさに検討した上で、



① 業者が公費負担の上限額を請負代金とする意思を示していたとは認めがたい。


② 業者の見積額は作成時期や経緯に不自然な点はなく、内容は総じて相当である。



として、石丸被告に控訴棄却を言い渡しています。



したがって、この判決を民事訴訟法第312条に照らし合わせると、


① この判決は、「憲法解釈の誤り」などと全く関係ありません。


② すでに1審・2審で事実関係について十分審議されており、判例違反や重大な事実誤認があるとも思えません。




このことから、この判決が民事訴訟法第312条の上告理由①②に該当することは考えられません。

残念ながら、最高裁判所に上告しても、即刻却下(門前払い)されるのが落ちです。それにしても、たかだか73万円程度の支払いの是非について、最高裁判所の判決を求める市長の体質が理解できません。



本会が以前から指摘しているように、市長は思いつき程度の浅知恵、生半可な法律知識、誤った法解釈等による考えや方針等を一度口にすると、それが「絶対正しい」と言い張り、小理屈やウソを後付して「物語」を作っていきます。

この姿勢が終始一貫していますから、相手と対話して合意を図るというようなことは到底出来ません。

今回の事案も、出てきた証拠に基づく事実関係や判決を見ていくと、市長のこうした体質がよく現れていることがわかります。



問題は、市長は行政の運営や事業の進め方にこうしたやり方をするということです。

例えば、認定子ども園を旧田んぼアート跡地に整備するという案件を見てみましょう。



市長は、「吉田地区に候補地がない」ということを前提にしていますが、先日の議会で吉田地区の民有地を含めて広く検討していないことが明らかになりました。

つまり、候補地の調査は不十分で、しかも保護者や地域住民への説明も一切しないまま、「公園と一体化した認定子ども園」に執着し、基本構想を策定して既成事実化しようとしています。



このやり方、今回の選挙ポスター報酬未払訴訟と同じ構図になっていませんか。



「ポスター等の公費負担制度」に対する誤った解釈、「公園と一体化した認定子ども園」という思いつき程度の浅知恵、これが市長の脳裏にこびりつき混乱と訴訟が始っています。