(株)良品計画の道の駅への出店に伴う行政文書が、公開請求後1ヶ月余り経っても来ませんので、この通信のコメントで現職市役所職員さんが、裁量権と利益供与について触れておられますので、まずこの件については本会の見解を述べておきます。



現職市役所職員さんは、次のように記されています。(要点)



連携協定を締結している今回のケースで利益供与が認められるためには、無印良品の出店と看板設置が無関係であることが必要です。

無印良品への集客が市の利益になると判断し集客のために看板を設置することは市長の裁量の範囲内でしょう。

したがって、看板設置費用を施設改修費の一部として扱うことをもって利益供与とはいえないでしょう。




① まず、(株)良品計画の出店に伴う店舗部分の改修工事費を市が負担することを何ら問題にされていません。

新たに3750万円もの大金を一般財源から投資するわけですから、その投資を回収するだけの賃料を加算すべきです。

しかし、残念ながら旧来の賃料のままでしかありません。(以前、本通信で触れています)


② 工事費が1000万円前後すると見られる野外看板については、議会にも一切説明されておらず、隠蔽したまま議決を受けようとしており、議会の議決権を侵害する行為です。


③ 「無印良品への集客が市の利益になると判断し集客のために看板を設置することは市長の裁量の範囲内」としていますが、市にも、企業立地誘致制度(含流通施設)がありますが、次のようになっています。


○ 要件 追加固定資産総額が5000万円以上で、新規雇用常用労働者3名以上

 (市長が説明した(株)良品計画の投資額8000万円の根拠の公開を求めています)


○ 補助内容は設備投資額の5%(限度額500万円)。他は省略



市の企業立地誘致制度から見ても、1000万円前後の野外看板設置工事費を負担する根拠はありません。

これが「市長の裁量の範囲内」になるのであれば、予算を隠蔽して議決を受けて何でもできることになります。


④ 地方自治法第32条の3(支出負担行為)には、



普通地方公共団体の支出の原因となるべき契約その他の行為(これを支出負担行為という)は、法律又は予算の定めるところに従い、これをしなければならない。



となっており、(株)良品計画との協定は、市の財政的負担を定めた項目はありませんので、この協定により市が1000万円前後負担する根拠には一切なりません。



なお、行政事件訴訟法第30条(裁量処分の取り消し)に次の規程があります。



行政庁の裁量処分については、裁量権の範囲を越え又その乱用があった場合に限り、裁判所は、その処分を取り消すことができる。



今回は、議会の否決で大事には至りませんでしたが、隠蔽と裁量権の乱用、そして利益供与は、企業や有力者との癒着を生み、組織を腐敗させ、汚職を生み出す元凶であることを自覚すべきです。