市長が打ち出した「中学校統合」と「認定子ども園」を検討していく中で、安芸高田市の「歪んだ行政」の姿が見えてきます。

それは、市長の「思いつき程度の方針」を絶対化する「思考停止した行政」の姿です。



「中学校の統合」に対する市長と教委の取り組みを見てみましょう。



第1回目のアンケート調査の回答率は、82.9%でしたが、第2回目のアンケート調査の回答率は43.0%でした。

2回目の回答率は1回目の半分程度に落ちました。

しかも、保護者の最も関心の高いはずである「自分の子ども達の教育の問題」に対して、半分にも満たない保護者しか回答を寄せていません。

普通なら、回を重ねるごとに関心も深まり、回答率も上がるはずですが、完全に真逆になっています。



昨年の各町での説明会は、年の瀬も押し迫った12月の保護者が最も出にくい午後7時という時間帯に開催されました。

しかも、美土里町での説明会は大雪のために中止となり、美土里町の保護者には、教委から「吉田町の会場へ行くか、webで視聴するか」を求められました。



仮に、吉田町への統合なら、美土里町の保護者にとっては、教育環境以上に遠距離通学は重要な問題です。

しかも、通学時間については説明資料にも記載はなく、隠されたままになっているのです。

美土里町の保護者は、「教委は何を考えとるんか。美土里町は軽く見られとる」と感じずにはいられなかったでしょう。



こうした保護者をおざなりにした対応が、第2回目のアンケート調査の回答率に如実に現れたのです。

保護者は、「吉田町への1校統合」は決定済みで、保護者説明会もアンケート調査も、単なる「アリバイづくりでしかない」ことを見透かしているのです。



「認定子ども園」に対する市長の取り組みを見てみましょう。

「認定子ども園」に対する市長の行政手法は、「中学校の統合」よりもさらにひどく、「無茶苦茶」と言っていいでしょう。



市長は、吉田地区の3施設を統合して、「田んぼアート跡地へ、公園と一体型の認定子ども園をつくる」という思いつき程度の方針を強行するつもりでしょう。



吉田地区から保育所がなくなる。

しかも5kmあまり離れたところに出来る。

保護者の送迎の都合などお構いなし。

可愛地区には3保育所が存在することになる。

可愛地区の保育事業者の経営を脅かすことになるなど考慮なし。

公園と一体型の認定子ども園は虚構。

しかも、吉田地区の3施設の老朽化はウソ。

等々を、保護者、市民や保育事業者に分かるように説明することは出来ないでしょう。







したがって、市長は、保護者、市民や事業者等への説明はおざなりにして、ともかく「基本構想」を作成して「既成事実化しよう」という魂胆が見え見えのやり方をしたのでしょう。

さすがに、市長寄りの議員も反対せざるを得ない「でたらめさ」です。



この二つの事例から見えてくるのは、市長の「思いつき程度の方針」が絶対化され、どんな矛盾があっても推し進める行政の姿です。

職員は、市長への絶対服従だけが強要され、行政としての「思考能力」が完全に失われています。



なお、市長は、「パブリックコメントさえすれば、市民の意見を募ったことになる」と考えている節があります。

しかし、市民がいくらパブリックコメントで意見を寄せても、市長が政策や事業に反映させることはないでしょう。

市民の意見を聞く気がないのですから。

結局、パブリックコメントは、アリバイづくりに利用される道具になるだけです。



[注]パブリックコメント


事前に広く市民から意見を募り、その意見を考慮することにより、行政運営の公正さの確保と透明の向上を図る制度です。



国は、政令や省令等で処分を定めるときには、行政手続法により、パブリックコメントを行うこととされています。