2月と3月の広報紙の「市政の動き」の中で、市長が「議会の閉会中の所管事務調査の不適切な運用」と題して、しつこく持論を述べています。

しかし、実際は「市長の閉会中の所管事務調査の不適切な理解」になっています。



議会の権限として、議案や予算などの重要な事項を議決する役割と執行機関を監視する役割があります。

この「執行機関を監視する役割」を果すための制度のひとつが、地方自治法で次のように定められています。



第109条

② 常任委員会は、その部門に属する当該地方公共団体の事務に関する調査を行い、(以下略)




議会の常任委員会は、地方自治法で定められた「事務に関する調査」をする機能を持っているのです。

これを「所管事務調査」といいます。

法律に規定されている重要な機能なのです。



次に、この「所管事務調査」をするときの手続きは、安芸高田市議会会議規則で次のように定められています。



第103条 常任委員会は、その所管に属する事務について調査しようとするときは、その事項、目的、方法及び期間をあらかじめ議長に通知しなければならない。



つまり、常任委員会は「所管事務調査をする」ことを決定すると、これを議長へ「通知」することよって手続きが完了し、調査は開始されることになります。



この「所管事務調査」を「議会の閉会中」にも行う必要があるときは、安芸高田市議会会議規則で、その手続きが次のように定められています。



第109条 (略)審査または調査を継続する必要があると認めるときは、その理由を付け、委員長から議長に申し出なければならない。



つまり、「議会の閉会中」に「所管事務調査」を行う場合には、議長に申し出る必要があります。

この「申し出」によって手続きは完了します。

ただ、安芸高田市議会では、「閉会中の継続調査」は、議長が本会議で議員全員に周知し、承認することにしています。



以上が、「所管事務調査」のあらましです。



次に、市長の主張を、広報の3月号から要点を抜き出します。



規則第109条中の「継続する」は、常任委員会で「実際に調査」が行われていなければ、「継続する」ということにはならない。


したがって、常任委員会で「実際に調査」が行われていない「事務」は、「閉会中の継続調査」にはならない。




つまり、「調査」「継続する」という字句に注目して、「調査」の概念を「具体的な調査行為」として論理を組み立てています。



しかし、どこの議会でも、「閉会中の継続調査」の手続きは、安芸高田市と同様の方法を取っています。

それは、次のような考え方に立っているからだと思われます。



常任委員会で、「所管事務調査をする」ことを決定し、議長に所定の要件を通知すれば、その時点で「所管事務調査」は開始されることになる。


したがって、閉会中に当該の「所管事務調査」を継続して行う必要があれば、議長に申し出をすれば済む。




市長は、「所管事務調査」が地方自治法第109条に定められた常任委員会の固有の機能であることを全く理解していません。



さらに、市長の論理は、「調査」「継続」という字句に目を付けた「木を見て森を見ない」小理屈でしかないということです。



市長は、次のようにまとめています。



(議会は)まず基本的な議会の規則に関する認識を正した上で、適切な議会運営が求められます。




市長に、市長の言葉をそのままお返しします。



(市長は)基本的な議会の規則に関する認識を正した上で、適切な議会対応がもとめられます。