既に新聞等で報道のとおり、3月17日に安芸高田市観光協会は臨時総会を開き、解散することを決定しました。



この件については、本通信でも紹介しましたが、関係者からいろいろな情報もいただきましたので、再度検証します。



ことの発端は、市が「観光協会の令和5年度補助金を前年度の1350万円から半額の680万円にする」と通告したことに始まります。



観光協会は、市の働きかけを受け、2013年6月に商工会会員を中心に結成され、当初は1名の職員と1名のパート職員で事業を開始しました。

そして、現在では3名の職員と3名のパート職員にまで、事業を拡大してきました。



観光協会では、観光情報発信だけでは仕事量も限られるため、雇用の安定や事業の拡大を図るために、市内事業者の産品の販売等を行い実績を上げてきたといいます。

令和3年度の補助金を除く売上は、コロナ禍にあっても1755万円まで伸ばしていました。



しかし、市は、次のとおり「通告」をしてきたといいます。


① 観光資源が乏しいことから、観光情報発信の効果は限られており、それにあった組織を想定した補助金額にする。

② 協会は、観光情報発信に注力して、収益事業は控えて欲しい。

③ したがって、市からの補助金は680万円とする。

④ また、道の駅で使用している施設の使用料は値上げをする。



つまり、市の通告の内容は、こういうことです。



安芸高田市の観光資源は余りないので、観光情報を発信する仕事も少ない。

これからは、仕事はそれだけになるので、補助金は大幅に削減する。

家賃も値上げをするので、どこかに転居した方がいい。



これに対して、観光協会は、次の理由から、解散せざるを得ないと結論したようです。


① これまでの観光協会の取り組みを全て否定するもので、承服できない。

② ホームページ等による観光情報の発信だけでも、1名の職員と1名のパート職員は必要になるが、市の提示する補助金では運営できない。




観光協会が発足した当時は、1名の職員と1名のパート職員で、細々とやっていました。

しかし、観光事業を担った2人の地域おこし協力隊員が、「自分達の給与は自分達で稼ぎます」と言って、観光協会の職員になり事業を支えてくれています。



市長は、新年度は経常的な経費を13.8%削減すると宣言して予算編成に臨みました。

しかし、観光協会への補助金は、13.8%どころではなく、昨年度補助金1350万円の丁度半額680万円を通告されたのです。

しかも、市からは「補助金680万円の根拠」は、全く示されないままだといいます。

これほどまで削減された団体は他にありません。



市長は、議会の答弁で、次のように居直りました。



観光協会が解散しても、その仕事は市の職員で十分できる。

必要なら委託に出すことも出来る。したがって、何ら問題はない。(要約)




観光協会の役員や職員が積み上げてきた実績を、ここまで「小ばかにする言ぐさ」は許されるものではありません。



今回の一連の流れを見ると、市長の意図は、職員の首を切り、最小限の体制まで大合理化をすることにあったことが見て取れます。

しかし、観光協会は解散をせざるを得ず、職員は解雇され、生活の糧を失います。

特に、他市から安芸高田市に来て、奮闘してくれた2人の元地域おこし協力隊員のことを思うと、一市民としても情けなくなります。



今、巷ではこんな話が出回っています。



観光協会の職員が「市長の批判をした」ということが市長に伝わって、それを根に持った市長が、補助金の大幅削減を持ち出し、職員の首切りを図ったのがそもそもの原因だそうな。



噂とはいえ、観光協会が解散に追い込まれた理由としては、最も納得できる話です。