今日(13日)の議会予算決算常任委員会で、福祉保健部と企画振興部合同の「認定子ども園」の予算に係る質疑が行われました。



認定子ども園は、吉田小学校に隣接する2保育所と1幼稚園を統合して、可愛地区に予定されていた旧田んぼアート跡地に建設するというものです。
 


市長は、可愛地区への移転に疑義をはさむ議員に対してこう強調しました。



この3施設は、郡山のふもと位置し、土砂災害の危険性がある。

子ども達の命に係ることで、移転するのは当然ではないですか。分からないのですか。(要点)



「子ども達の命をどう考えているのか」と語気を荒だて、「今にも災害に襲われる」ような口ぶりで、旧田んぼアート跡地への移転を正当化していました。



では、この3施設に隣接し、ハザードマップでは土石流が直撃する吉田小学校の子ども達は、どうなるのでしょうか。

「子ども達の命」に関わることですので、吉田小学校も早急に移転を考えないといけないと思われますが、市長はなぜか一言も触れません。

なぜ、同じ子ども達のことであるにもかかわらず、どうしてここまで対応が違うのでしょうか。



それは、「認定子ども園の設立」という自分の主張を通すために、「子ども達の命」という「言葉」を利用しているだけで、口先だけの小理屈に過ぎないということです。



また、市内の公立保育園は、「原則として各小学校区に1施設を置く」としていますが、吉田小学校区には、この移転で保育施設が全くなくなり、一方で、愛郷小学校区には、民間の2施設を含め、合計3施設が存在することになります。

原則に外れるばかりでなく、著しく偏在することになります。



また、認定子ども園は、吉田町全域を対象にするということですので、この二つの民間施設の経営は厳しくなることが想定できます。

いや、子ども達が減少していく中では、廃業にさえ追い込まれるでしょう。



現行の2施設を指定管理している事業者や可愛地区の隣接した民間保育園への説明は、昨年の11月下旬に行ったということですが、部長の答弁では、「市の方針を通告した」というのが実態であることが明らかになりました。



通告を受けた事業者は、一様に「市の考えはわかりました」というものだったといいます。

「今まで幼児保育に尽くしてきたのは、なんだったのか」という怒りと、「市長には何を言っても仕方がない」というあきらめの心情が現れた回答だと思います。
 


また、市が説明する場所の選定条件は、「浸水しないことと8000㎡の面積を確保すること」のみで、保護者の送り迎え等の利便性は全く考慮されていないことも明らかになりました。

最初の6候補地は浸水することを条件に除外されましたが、近くの老人福祉施設は、土地をかさ上げして対応しています。

つまり、まず「旧田んぼアート跡地ありき」で、真剣な検討をしていないということです。
 


結局、議会での議論は、「旧田んぼアート跡地を候補地として、基本構想を作りたい」ありきの主張だけでした。



本会が理解できないのは、なぜ市長は自分の主張をごり押しし、保護者、市民、事業者等とひざを交えた議論が出来ないのでしょうか。

そして、保護者や市民の代表、事業者等関係者による検討委員会を設置し、議論を深めないのでしょうか。



選挙を控え、自分の実績にしか興味のない市長は、そんなまどろっこしいことは出来ないのでしょうか。