3月6日の議会一般質問で、市長は金行議員の質問に答え、「小中学校の給食の無償化を、来年4月から行いたい」と表明しました。

市長は、いよいよ来年の市長選へ向けた実績作りに拍車を掛けてきました。



小中学校の給食の食材費は、学校給食法により「保護者の負担」と定められていますが、 東京新聞の記事によると、全国1741自治体のうち、小中学校の給食無償化は260自治体で行われているとされています。

これまで、小さな自治体での実施が中心でしたが、今春から東京都の葛飾区でも始まるとされ、全国的にも注目を浴びています。



また、コロナ禍での子育て支援を図るために、国のコロナ対策交付金を使って一時的に給食の無償化を実施した自治体もあり、こうした自治体が引き続き給食の無償化を検討しているとも言われています。



こうした中で、自治体の財政力によって格差が生じつつあることから、学校給食法を改正し、自治体への国の支援や財政負担を求める動きも出てきています。



本会は、こうした状況を理解しており、給食の無償化に反対するものではありませんが、「市長が給食無償化をするとした理由」には違和感を持たざるを得ません。

市長の給食無償化の理由は、新聞報道によると次のとおりです。



今の年金受給者と比較して、われわれの世代の受給額は低くなり、さらに下の年代は制度があるかどうか分からない。

これが、財政における世代間格差、不公平だ。国も解決しないので、苦肉の策として、市長の権限で、上の世代から下の世代へ歳出の使途を変える。




なぜ、市長のこの説明に違和感を持つのか説明しましょう。


① 市長の主張は、世代間の一方に不公平感を持ち込んで分断を図り、その世代の不満を代弁し味方に取り込む手法です。

こうした手法は、市民を分断支配し、民主主義を破壊します。

これは、アメリカのトランプ元大統領が採った手法と全く同じで、いかにアメリカ社会が分断を深めたかを見ればよく理解できるはずです。


② 「年金をもらう既得権層から、パイをもぎ取って、既得権を持たない層に渡す」のは、果たして政策といえるのでしょうか。

「年金が持つ問題」を「給食の無償化で補う」とするのは論理のすり替えで、何の問題解決にもならず、いずれ双方が貧窮していく構図になります。

それを見てほくそ笑むのは、それを仕掛けた政治家です。

「小町さん」は、これをツイッターで「知の貧困」と指摘されましたが、全くそのとおりです。



また、今回の一般質問で呆れたのは、市長与党議員が来年の市長選挙を意識して、市長への「ヨイショ」があまりにも過ぎることです。



金行議員の「給食の無償化」質問も、明らかに仕組まれたことが分かります。

令和6年度の事業を、なぜ1年前の今議会で質問したのでしょうか。

給食の無償化には、一般財源が年間約9千万円も掛かり、今回の上下水道料金の値上げ分が吹っ飛ぶ金額です。

市長が財政的検討をしたとはとても見えません。



ある議員は、サテライトオフィスへの入居が県下で2番目に多いことに触れ、市長の実績だとして「ヨイショ」していました。

しかし、多くは以前から取り組まれていた努力が報われたもので、市長の功績でないことはよく知られたことです。


また、ある議員は、昨年11月に国際子ども平和賞を受賞した少女の発言を今頃になって紹介して、市長の政治姿勢を「ヨイショ」していました。



いずれにしても、見ていて情けないほどのヨイショ振りでした。



さらに、今回は、市長の「反問権」の行使がほとんどありませんでした。

これも、選挙参謀が「程々にしとかないと、人気にさわる」とでも注意したのでしょう。



三流の政治家は、危機感を煽り、市民を分断する政治を行います。

三流の政治家は、箱物とバラマキを選挙の道具に使います。



中学校の1校統合と29億円の新校舎建設、認定子ども園新設、122億円の水道全面改修、そして「給食の無償化」、市長の選挙用の目玉事業が揃ったようです。