2月11日の中国新聞「中国わいど」版トップに、「安芸高田 観光協解散へ 市補助金の半減方針を受け」という見出しの記事が出ました。



安芸高田市は、今年度「毛利元就郡山城入城500年」という大きなイベントを控えており、観光客の増加が期待されています。

こうした時期に、市の観光事業を支える観光協会が、解散をせざるを得ない状況に追い込まれました。

理事長を始め理事の皆さんの悔しさは如何ばかりかとお察しします。



本通信でも何回も指摘しているとおり、市長は「20年後には、安芸高田市は潰れる」と危機感を煽っています。

その根拠は、交付税が減り、扶助費が増えることに加え、2022年度以降、市道、上下水道及び橋梁(インフラ)の更新費用が「平均41億円必要になる」ことを根拠にしています。



しかし、交付税の20年後を見据えるなど意味を持ちません。

さらに、2020年以前の5年間のインフラ更新費用は、平均6200万円に過ぎませんし、2022年度のインフラ更新費用もその程度でしょう。

しかし、市長は、2022年度からインフラ更新費用が「6200万円から41億円」に突然そして爆発的に増えることを前提にしているのです。

はっきり言って、この推計は、危機感を煽るために、「でっち上げた数字だ」と言っていいでしょう。



市長は、この「でっち上げた数字で作った安芸高田市が潰れる」という幻想を前提に、2023年度経常的経費の13.8%削減を打ち出しました。

しかも、「13.8%削減」という数字について、「なぜ13.8%になるのか」、その根拠を全く説明していません。



「経常」とは、「常に一定の状態で続くこと」であり、急激な変化に対応することは難しく、準備し段階的に変化させるのが常です。

自治体においても、10年程度の財政推計に基づいて、段階的に経常的経費を削減していくことはありえることです。

例えば、合併後10年から15年の間は、急激に交付税が減少することから、こうした手法を採って対応したはずです。



ところが、今回のように、突然翌年度から経常的経費を一律に13.8%削減するようなことは、市長の報酬をカットするような非常事態が発生した時以外で聞いたことがありません。

それほど異常なことなのです。



こうした異常事態が、「市観光協会の解散」という事態を生み出しました。

毛利元就郡山城入城500年」という大イベントを前に、「このイベントを支える市観光協会が解散する」と言うのですから、多くの人は、「安芸高田市は何をしょうるんなら?」と、あきれておられることでしょう。



さらに、問題があります。

協会の職員3名とパート3名の職がなくなることです。

6名の職を奪うほど安芸高田市は困窮しているのですか。

6名の職を奪うほど、安芸高田市が困窮しているのなら、市長自らが報酬のカットをまずやるべきでしょう。

そうしないと、市民は納得しないでしょう。

職を奪うことは、生活を奪うことにもなることが分からないのでしょうか。



補助金を大幅にカットされる団体の話を聞きました。

「市長は、何を言うても聞きゃあせん。何もわかっとりゃあせんのんじゃけい」と完全にあきらめ顔だそうです。



市が補助金を出している団体は、市の政策・施策を支えています。

公共の福祉、文化、芸術、コミュニティを民間と言う立場で支えています。

こういった団体や市民を切り捨てて行けば、行政が成り立たなくなっていくことが理解できないのでしょうか。



これでは、財政再建以前に、行政が崩壊します。情けない市長です。