先日議会で紛糾した「再生可能エネルギー設備導入補助事業」については、30~40年も前からある設備に補助金を出すなど政策意図がまったく見えず、しかも140世帯限定のばら撒き補助金(10万円)でしかないことを指摘しました。

では、他の市町はどんな事業をしているのか調べてみました。



市長と同じように若い市長の三原市のホームページを見ていると、興味深い事業を見つけました。今年5月から開始した「脱炭素社会推進補助事業」です。



この事業は、脱炭素に寄与する機器を設置する個人に対して補助金を交付するもので、このようになっています。(法人に対する事業もあります)


① 家庭用蓄電池システム    補助金額 5万円/件  8月末実績 52件

② 宅配ボックス        補助金額 2万円/件  8月末実績  4件

③ エネルギー管理システム   補助金額 2万円/件  8月末実績  8件



① 家庭用蓄電池システム


本格的な家庭用蓄電池システムは、蓄電池購入費(100万円~150万円)と工事代金(50万円程度)が高額になります。

また、太陽光発電と組み合わせないと効果が半減します。

一方、ポータブル蓄電池は、20万円前後で購入できます。


② 宅配ボックス


本格的な宅配ボックスは、数万円で購入できます。

2万円の補助金は、お得感があります。


③ エネルギー管理システム


電力使用状況の「見えるか」と「一元管理」をします。

政府は2030年までに全世帯への導入を計画しています。

10万円余りで導入できます。

ただ、太陽光発電等がないと効果は薄いと思われます。



事業の中身を見てみると、「脱炭素に向けて将来を見据えた」政策意図がはっきりと見えます。 



特に、省エネ型給湯器と太陽光発電が普及してきましたので、省エネ対策としては、家庭用蓄電池システムとエネルギー管理システムに大きな期待が集まっています。

しかし、家庭用蓄電池システムは機器が高額で、一般家庭への本格的な普及はまだ先だと思われてきましたので、実績の多さには驚かされます。

なお、ポータブル蓄電池でも、災害時の非常用電源としては、大きな効果を発揮するでしょう。



同じように若い市長の三次市でも、新型コロナ感染症対応地方創生臨時交付金事業に、特色が見えます。いくつか紹介します。


① スマート行政推進事業


市の開催する委員会等のペーパーレスを推進するために、出席者に貸与するタブレット端末を整備します。


② マイナンバーカード普及促進事業


申請窓口の拡充と取得特典の付与を行います。

予算額は、125百万円で、その意気込みが伝わります。


③ 地域経済活性化事業(キャシュレス普及促進事業)


キャシュレス決済を促進するために、利用者へのポイント付与を行います。予算額は、52百万円です。


④ クラウドファンディング活用支援事業


クラウドファンディングを利用して資金調達を行う個人、中小事業者を支援します。



新型コロナ感染症対応地方創生臨時交付金事業は、一過性の交付金ですが、現在への対応だけでなく、将来を見据えて事業が計画されていることが良くわかります。



翻って、安芸高田市の「再生可能エネルギー設備導入補助事業」を見ると、情けなくなりませんか。今年度の予算を見回しても、新規事業には政策意図を感じる事業は見当たりません。

安芸高田市の政策、施策形成能力はどんどん低下しています。



市長が「政治再建は一丁目1番地の最優先事項だ」と宣言して、議会との確執に明け暮れている間に、安芸高田市はどんどん置いていかれています。