広報あきたかた9月号に、「市役所の開庁時間が9時から17時になる」ことが載っていました。

本会の調査によると約半数の市民は反対しており、「賛成、わからない」と回答された市民の皆さんも、「400万円も削減効果があるんならしょうがないの」と思っておられると聞きます。



本会は、この計画が示された時から「400万円の削減効果」に大きな疑問を持っていました。議会での答弁で、担当課長は、次のように説明しています。



概算ですが、朝の朝礼を5分、課のミーティングを15分、時間外にしていると仮定し、年間で約400万円の時間外が削減できるという計算をしている。

ただこれは最少の時間の設定ですので、窓口を所管する部署においては15分のミーティングでは済まず、1時間ほどのミーティングを時間外でしているという現状があるのではないかと考えている。



なぜ「仮定し」なければならないのか大きな疑問ですが、本会は「朝の朝礼を5分、課のミーティングを15分、及び1時間ほどのミーティングの時間外手当」を調査することにしました。

特に「1時間ほどのミーティング」なら、時間外手当が出ないはずはありません。実態はどうだったのでしょうか。



本会は、今年の1月から3月までの3ヶ月間(1年間の申請書を求めると、膨大な量になると思い3ヶ月にしました)の総合窓口課及び税務課職員の午前7時から8時30分までの時間外勤務申請書(職員が時間外勤務をするときには、課長に申請書を提出し決済を受けます)の開示を求めました。

この回答が8月26日付で本会へ通知されましたが、「行政文書不存在」というものでした。



「行政文書不存在」とは、「該当する文書がない」ということです。

つまり、「3ヶ月間、一人も時間外勤務申請をしていない、したがって時間外勤務手当は全く出ていない」と言うことです。

この3ヶ月間1円の時間外勤務手当が出ていないと言うことは、昨年1年間も全く出ていないと推測されます。

また、開庁前の「1時間ほどのミーティング」もなかったと言っていいでしょう。



市民の来庁者が一番多い総合窓口課及び税務課で時間外勤務手当が出ていないと言うことは、他の課で出ているはずはありませんので、昨年度約400万円の時間外勤務手当の支出はなかったということです。

では、約400万円の支出がないのに、なぜ開庁時間が9時から17時までになれば年間約400万円の削減効果が出ることになるのでしょうか。

「1円も出していないのですから、削減効果など全く存在しない」と言うことが証明されました。



総合窓口課及び税務課以外の課では、保育所の入所受付等特別な事務や行事がないかぎり、開庁と同時に市民が列をなすことはありません。

したがって、これらの課は、8時30分から開庁し、朝礼を行っても十分に市民対応ができます。



総合窓口課及び税務課では、週の中では月曜日、年間では3月4月が忙しいとされています。

8時30分には市民が必ず来庁されています。

したがって、この両課で8時30分開庁と朝礼の実施に課題が残ることになります。

しかし、朝礼は長くて10分ですから、10分間混乱なく市民対応することの知恵が求められるのです。



三次市は、本庁のみですが、次のとおり窓口対応をしています。


 ○ 金曜日  19時まで

 ○ 土曜日  8時30分から17時15分まで(平日と同じ)



 広島市は、住民票関係と戸籍関係では取り扱いが違いますが、次のとおりです。


 ○ 平 日     18時30分まで

 ○ 土日祝日等   9時~18時30分まで



 北広島町は勤務時間どおりです。


 ○ 平 日     17時15分まで



本会は、すでに市長に近隣市町の調査と職員の知恵を結集するよう要請しましたが、拒否されています。

今回、制度変更の前提条件である「約400万円の削減効果」が、崩壊したのですから、再度市長に近隣市町の調査と職員の知恵を結集するよう要請します。



注 [労働基準法と慣習的に毎日行っている「朝礼、清掃等」]

労働基準法では、慣習的に毎日行っている勤務時間外での「朝礼、清掃等」は時間外勤務に当たるとされています。

例えば、毎日午前8時25分から「朝礼」を行う場合、その時間が5分でも時間外勤務手当を出さなくてはなりません。

時間外勤務手当を出さない場合、労働基準法違反になり、遡って時間外勤務手当の請求がなされることもあります。