ブックオフで105円で買った本。
読み始めてしばらくして、気付きましたが再読でした。
家の本棚にはなかったので、
以前図書館で借りて読んだのかもしれません。
梁石日くんの『闇の子供たち』です。
 
闇の子供たち (幻冬舎文庫)/梁 石日
¥720
Amazon.co.jp
 
 
内容は、タイにおける幼児売春を扱った
非常にショッキングなもの。
 
ただ、残念なのは、
途中でテーマが臓器移植にずれてしまっている点。
 
作者としては、ずれているというつもりはなく、
同根の貧困と幼児売買が原因
と言いたいのでしょうが
読む方としては、興味をそがれてしまいます。
 
 
そして、ばくが最も興味を持ったのは、
役人の腐敗。
 
おそらくは、これこそがタイの人権問題の
最大のネックだと思います。
 
警察は、
殺人犯を逮捕してもマフィアが保釈金を支払えば
すぐに釈放してしまい、
幼児売買を行っているマフィアの手先となって
人権団体を監視します。
 
そして、人権団体の全国統一大行進に
不穏分子を紛れ込ませ
デモ行進の最中に投石・略奪をさせ、
鎮圧のために指導者たちを殺害したのは軍です。
 
警察や軍がもっと規律を保ち、
本来行うべき仕事をきちんと遂行していれば
ここまでひどく
幼児売春がはびこることはなかったはずです。
 
ですが、おそらくは貧困がそれをさせないのです。
 
本書では描かれていませんが、
警察や軍の役人が自分と家族を養い
家を持ち生活していくには、
きっと給料が少なすぎるのでしょう。
 
安い給料ではマフィアに入ろうかどうしようか、
と言うようなゴロツキしか集まってきません。
 
一定の教育水準に達した者を、
副業を行わなくても
十分裕福な生活が可能な給料で集めなければ
ならないのです。
 
国際援助は、
そうした教育と賃金の補填、
そして、彼らを指導監督する人員の派遣
に向けられるべきでしょう。
 
遠回りに思われるかもしれませんが、
その方が、
公共事業でマフィアに金を吸い取られるよりも
よほど有効な手立てかと思うのですが。
 
この小説に描かれた世界が、
近い将来の日本の姿ではないことを
願っています。
 
 
評価 ☆☆☆☆
 
 
  ブックオフオンライン

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