というわけで、
年間平均15件もの不可能犯罪が起きてしまう
架空の町蝦蟇倉市を舞台にした
ミステリーのアンソロジー『蝦蟇倉市事件1』です。
 
蝦蟇倉市事件1 (ミステリ・フロンティア)/道尾 秀介
¥1,785
Amazon.co.jp
 
 
執筆陣が豪華。
道尾秀介くんに、伊坂幸太郎くん、
そして、……すみません、後の方々は
初めて読む方ばかりでした。
 
 
「弓投げの崖を見てはいけない」 道尾秀介
弓投げの崖を過ぎたトンネルで起こった事故、そして殺人……。
犯人が同じ現場で殺される。
果たして犯人を殺したのは、被害者の妻なのか?
この作品、最後に誰かが車に跳ねられます。
それが誰なのかについて、
ヒントと共に作者から出題されているのですが
さっぱりわかりませんでした(ノ_・。)
☆☆☆
 
「浜田青年ホントスカ」 伊坂幸太郎
スーパーの駐車場の一角に建てられたプレハブの相談所。
家出をしてきた浜田青年は、
そこに住み込みで雇われるのだが、
ある日突然首を言い渡される。
なるほど。
そのために雇ったのですね。
☆☆☆
 
「不可能犯罪係自身の事件」 大山誠一郎
年間平均15件もの不可能犯罪が発生する
蝦蟇倉市の警察署には、不可能犯罪係がある。
ある日、またしても不可能と思われる殺人事件が起こった。
そして、逮捕されたのは
なんと不可能犯罪係に属する名探偵真知博士だった!
真知博士が今一つ名探偵っぽくないのが残念。
☆☆☆
 
「大黒天」 福田栄一
和菓子屋の店頭に置かれていた大黒様の置物。
ある日、それは亡くなった店主が盗んだ物だから返してくれ、
と言う男が現れ、奪われた。
祖父の疑惑を晴らすため、孫の姉弟が活躍する。
☆☆☆
 
「Gカップ・フェイント」 伯方雪日
蝦蟇倉市の市長は
レスリングの金メダリストにして元カリスマプロレスラー。
そんな彼が、蝦蟇倉市で格闘技の世界大会を開く。
世界中から集まった二百人を超える巨漢の男たち。
そんな中、
十トンもの重さの銅像に頭を潰されて殺されるという
不可能犯罪が発生する。
果たして犯人は!?
そんなアホな……
☆☆☆
 
 
なかなか粒ぞろいの一冊でしたね。
 
でも、みなさん、作品、どういう順番で書いたのでしょう?
 
たとえば、伊坂幸太郎くんの「浜田青年ホントスカ」に
「大黒様の置物を取り戻したい、と相談に来た」
と書かれていますが、福田栄一くんの「大黒天」は
このエピソードを元に書かれたのでしょうか?
 
それとも、「大黒天」が先にあって、
それを伊坂くんが作中にさらりと取り入れたのでしょうか?
 
どうも後者のような気がします。
 
そうすると、いったん皆さんの作品を集めて、
それを全員が読んだうえで
他の方が書かれた作品の内容に
自分の作中で触れるべく手直しをする、
という作業が必要なわけで、
これはなかなか大変そうです。
 
でも、読者としては
それを探しながら読むのが楽しいのです。
 
満足のいく一冊でした。
 
 
評価 ☆☆☆
 
 
現在、『2』も読み進めているところですので、
こちらも明日には紹介できるかと思います。
 
 
  ブックオフオンライン
  
ブックオフオンライン