いつも詳細な書評を書かれていて、読書の参考にさせていただいている還暦過ぎの文庫三昧 さんが紹介されていた浅田次郎くんの短編集『月島慕情』を読みました。


月島慕情 (文春文庫)/浅田 次郎
¥570
Amazon.co.jp

還暦過ぎの文庫三昧 さんみたいな詳細な紹介はできませんので、簡単に感想などを。


全7編。


「月島慕情」

明治時代、吉原に売られた娼婦の話。

博徒に落籍されるんですが、途中で、ああこれは幸せにはなれないんだろうな、と思ってたら、やっぱり自ら身を引いてしまうのです。


「供物」

こちらは一転して、現代もの。

20年前に別れた夫が亡くなった、との連絡を受け、供物を持って訪れるとそこには……。

元夫は再婚していないと書いてあったのに、どうして孫がいるのかと思っていたら、そういうことですか。

「雪鰻」

これは戦争もの。

師団長はどうして鰻を食べられなくなったのか。

これ、好きですね。

特に宮様の前で、戦況を報告する代わりに鰻を食べてしまう場面。


「インセクト」

学園紛争時代のノンポリ学生の話。

それは引くわなぁ、ゴキブリは飼っちゃダメでしょう。


「冬の星座」

自分を育ててくれた大おばの葬儀にかつて付き合ったことのある男の息子と行った。

するとそこには、カトリックのシスターや暴走族などおかしな面々が次々と弔問に訪れて……。

ユーモアのつもりかも知れませんが、あまり面白くないですね。


「めぐりあい」

山奥の温泉場でマッサージ師をする時枝。

かつて自分を捨てて医者になった男が客として訪れる日が来ることを待ち望んでいたのだが……。

泣かせようという魂胆が見え透いてちょっと興ざめです。


「シューシャインボーイ」

銀行を辞めて中堅企業の社長専属運転手になった主人公。

その社長が通う新宿のガード下の靴磨きは、社長の育ての親だった。

いらっしゃいましたね、幼いころ、神社のお祭りなんかに、傷痍軍人さんが。

残念ながら、読み方が浅いのか、この靴磨きをしている父がどうして社長に頼ることを潔しとしないのか、どうしても分かりませんでした。



評価 ☆☆☆



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