花村萬月くんの『百万遍 青の時代』 を読みました。

これまで何作か読んだ花村くんの作品の中では、一番ましでした。


百万遍 青の時代〈上〉 (新潮文庫)/花村 萬月


百万遍 青の時代〈下〉 (新潮文庫)/花村 萬月
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三島由紀夫が死んだ日、主人公の惟朔(いさく)は高校を退学し、生活保護を受ける母が買ってくれたギターを破壊して教護院を出る。


そして、ここから惟朔(いさく)の波乱万丈の人生が幕を開ける……と、言いたいところなのですが、どうにも、血沸き肉躍るという具合にはいきませんでした。


いや、確かに、高校退学以外にもいろいろとあるんですよ。

トルエンをやったり、

一足先に社会人となった同級生と盗んだバイクを乗り回して持ち主に見つかったらそいつを半殺しにしてしまったり、

やばいと思って小学校時代の同級生の朝鮮人の女の子のところに転がりこんでしばらく一緒に暮らし金を持ち逃げしたり、

ヤクザになった同級生のところに居候して覚醒剤を打たれたり、

汚いおばさんとやっちゃったり、

牛乳配達屋になって無免許でバイクを転がしたり、

ヤクザ者に買ってもらった画材で油絵を始めてみたり、

刺青の彫師のところに居候して自分も彫師になりたいと真剣に考えたり、

野外音楽祭でマリファナを吸ってみたり、

喫茶店で働くようになりそこの女の子と仲良くなってヤクザ者が人を殺す場面に遭遇したり、

ヤクザの親分の妻に手を出して再び朝鮮人の女の子のところに逃げ戻ったり、

そこを再度飛び出したり……

と。


確かに、普通の人生では経験しないことばかりですよね。


でもね。

つまらないんですよ。

主人公に華がなくて、感情移入できないのです。


人生が行き当たりばったりなのは良いとして、そこで変に考えちゃうのも煩いです。


あと、無理に時代を描こうとしてるのも嫌ですね。

浅間山荘事件がありました、とか、コインロッカーに赤ん坊が捨てられてました、とか、関心持てなくて絡んでいかないんなら書くな、と言いたいですね。



著者の自伝、と言うことですが、もう少しエッセンスを絞ってコンパクトにまとめるべきでしたね。



評価 ☆☆☆



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