自殺作家文壇史/植田 康夫  北辰堂出版 2008年10月刊
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ばくは、基本的に小説読みです。

小説以外の本はあまり読みません。

したがって、この「ばくはこんな本を読んできた」で取上げるのも小説がほとんどになると思います。


今回の「自殺作家文壇史」は、その例外です。


ジャンルとしては、何になるのだろう。

研究書?


手にしたきっかけは、タイトルにある「自殺」です。

て言うか、太宰治です。


何を隠そう、ばくは、生粋のダザイストなのでした。


帯には、三島由紀夫、川端康成、芥川龍之介と並んで太宰の名もあり、これにすっかりだまされてしまいました。

のべ12人の自殺した作家について書かれていますが、基本的には、三島、川端、芥川、この3人について書かれた本です。

太宰を含め残りの9人は刺身のつまです。


でも、だまされたとは言いながら、なかなか興味深く読ませてもらいました。

なにしろ、三島、川端、芥川、この3人が3人とも太宰とは因縁浅からぬ作家たちです。

特に、第5章で明かされる川端康成の死の真相(まぁ著者の推論なんですが)には納得させられるものがあります。

前から思っていたんですよ、川端の野郎はいい年こいて自殺なんかしたのと……。


ところが、あとがきで明かされる更なる驚愕の事実!


なんとこの本、昭和51年に別の書名で出版された本の改題版だったのです。

第5章に関しては文章の修正しかしていない、ということなので、昭和51年には川端康成の死の真相(著者推論)は世に出ていたのですね。

知りませんでした。



評価 ☆☆☆