もつ煮込み

数年前、手に入れたいのに、手に入らないものがあり困ったことがありました。
一つは「米麹」、
一つは「白もつ」。

某番組で麹の甘酒を特集して以来、米麹が入手困難に。
「白もつ」に関しては、関西ではもともと入手困難です。

「米麹」は一過性のブームなのでそのうち安定供給されました。
問題なのは「白もつ」。
「どこにも売ってないぜ」。

で、千葉の実家に帰省するたびに買って帰ります。
「リュックに冷凍した白もつ詰め込んでいるのは俺くらいのものだ」。
空港の保安検査ではどんなふうに映っているのか。
「まさか大量の白もつ(末端価格1,000円)とは思うまい」。

さて、買って帰った白もつ、
茹でては水を替え、繰り返すこと2回。
丁寧にアクをとり、大根、玉葱、人参と生姜を加えて煮込む。

味付けは味噌と醤油少々。ほんの少しの味醂を加える。
「これだけで…」。

小一時間煮込み、火を止め、冷ます。
翌朝も煮立たせて、火を止め、冷ます。
夕刻に煮立たせ、
「さあ、出来上がり」。

薬味は刻んだ白葱、京都「長文屋」の七味。
大根が白もつの風味を含んでほろほろと柔らかい。
白もつは噛むたびに独特のふうみと脂をにじませ、
ほどよい甘みが生姜と七味に良く合う。
「リスクを背負って持って帰ってよかったー」。
とは、リュックの白もつを疑われるリスク。

「なぜ、こんな思いをせにゃならんのだ!」。
関西にもつ煮込みの文化が根付くべきである。

わざわざ千葉から密輸の如く持ち込むなんて。

「でも、だからこそ味わいもひとしおである。」
「まさにご馳走と言える」。

そんな折、近所のスーパーに売ってました…。

では。