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事件が起きたのは、その翌々日のことだった。

朝9時、哲からの「起きろ小島!大変だからとにかく店に来い!」という電話で飛び起きた私は、何が何かわからぬまま夢中でお店に向かった。

渋谷に着いたのは10時になる5分前だった。街にはもう人が溢れており、ベースメイクだけしかできていなかった私は少しうつむき加減で走るしかなかった。



お店のビルに着き、階段を下りてドアを開けるとすぐに、顔を真正面に上げないと信じられない光景が目の前に広がっていた。

複数の警察官と、現場検証をする捜査員と、肩を落とし青い顔でうな垂れている田嶋さんと、その後ろで伏目がちな宮元さん、そして真冬にも関わらず高揚した顔の哲がいた。

お店の中が、いつもよりガランとしていた。

お客さんがいないとかではなく、いつもあるはずの物や用度品がなかった。

何が起こっているのか、わからなかった。



「あ・・・小島」

入り口の一番近くにいた哲が私に気づき、はぁ、深く長いとため息をつきながらゆっくりこちらに歩いてきた。

「ま、とにかく入れよ」

哲はそう言い、ドアを閉めながら私の肩をポンと叩いた。

その感触が一瞬なのにとても重く、哲の体から力がまったく抜けていることがわかる。

「・・・どういうことなの?」

振り返った私と哲の目が合い、哲が口を開けようとした瞬間、中年の警察官の「オーナーさん、ちょっといいですかね」という声が聞こえた。

田嶋さんはうな垂れたままなんとか返事をし、警察官と話を始めた。

その光景を未だ状況が飲み込めずにただ見尽くしている私を、宮元さんが呼ぶ。

「あぁ菜緒ちゃん、来てくれたんだ。こっちへ。・・・色々と話さなきゃね」

そう言われ手招きされて店内へ進むと、ようやく気づくことができた。



お店は、昨日の閉店後から今朝までの間に、強盗に入られていたのだ。