アルバム曲紹介13.月光鉄道 | 近藤晃央オフィシャルブログ Powered by Ameba

アルバム曲紹介13.月光鉄道

お久しぶりになりました。

2ndアルバム「アイリー」全曲紹介。

あと、2曲になりました!

今回はこちら。

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M13.月光鉄道


小学校6年から中学2年まで約3年間。
僕はいわゆる不登校生徒だった。


勉強もできた。運動もできた。
毎年、学級委員をやるような、
人を引っ張っていくタイプだったと思う。


その分、理想もプライドも
すごく高かった。
泣いても「泣いてなんかない!」と
強がる子供だった。


その反動からか、勉強も運動も
「できない」自分を見つけると
すぐに楽しさを失った。


ただ、
他の子供よりも「出来る」から楽しかっただけで
「出来なくなった」途端、楽しくなくなった。


プライドの反動は大きい。


いつからか自信がなくなり
人目ばかりを気にし始め
子供なりに生きる事が窮屈になっていた。


最初は、1日、2日だけ休むつもりが
1週間になり、1ヶ月になり、1年になり…
気が付けば、戻るタイミングを失っていた。


戻って、どんな顔をすればいい?


そうして負の連鎖に陥り
大袈裟ながら生きる事すら諦めそうになった。
無闇に他人のせいにもした。


そんなに大袈裟な事だったんだろうか。
被害妄想。世界で自分だけが
取り残されていく感覚に溺れていた。



外の世界を拒否しながらも、
みんなが寝静まった後、近所の公園や、
屋根の上から夜空をよく見ていた。

夜は街が暗く、夜空がとても綺麗だった。 

「変わらなくちゃ」と
自分で分かってはいたけれど

それを行動に移せないまま
もどかしい気持ちを抱え
よく、涙を浮かべながら空を見上げていた。 

遊び方を自分で作っていたように
幼い頃は
「ないものは、自分で作っていた」のに

気が付けば環境も将来も、
どうにかなるのを「待っている」ばかり。



 「最後笑ったのはいつだろう?
...最後と決めたのはいつだろう?」
-歌詞より抜粋



最後じゃなく、
また笑えるようになれるよ、と。
僕は、あの日の僕に伝えたい。

この曲はあの時、
夜空を見上げていた自分(I)に書いた
「返事(Re)」のような楽曲だ。



今この時代にも、それぞれの理由で
部屋から出られない人達が沢山いる。

子供だけではない。大人もそう。

僕からその人達にかける言葉は
…何もない。

状況も理由も、違う。
これが僕の正直な気持ちだ。

僕が引きこもりだった頃
周囲から沢山の言葉をかけてもらった。

「外に出よう」「将来どうするの?」
「甘えるな!」「勇気を持て」

そのどれもが、正論だと思ったし、
心配してくれているのも感じた。

でも、
全部が心に響かなかった。
偉そうに聞こえるだけだった。

きっと求めていたのは「正論」ではなかったんだと思う。

生意気な事を言えば、
何が「世間的に正しいか」なんて
分かっていたつもりだった。

「正しいこと」が
分かっているからこそ、

「そんな正しいことも
自分には出来ないんだ」
すべてを悪い方向へ考えて反発した。

あの頃の
「他人の言葉が響かなかった感覚」を
僕は参考にした。

状況を変えるのは、自分。
居場所を作るのも、自分。

それが「どうせ出来ない」と思う内は
何を聞いても綺麗事に聞こえる。

だからこそ僕に出来る事は、

他人に偉そうに「こうしたらいい」と
伝える事ではなく

あの日の僕に、
僕自身が伝えたい言葉を伝える。

自分から、自分へ。

誰かを説教する訳でもない。
誰かを励ます訳でもない。

自分から自分へ送った言葉なら
遠回りでも、客観的に
何かを伝える事ができたらと、

そういう気持ちで
この曲を作っていった。



月は太陽と違って、
自分で光を発している訳ではない。

太陽から間接的な光を受けて、
僕らが過ごす夜に、
僅かな明るさが生まれている。



暗い部屋で探し物をしてるなら
今はあかりを探してみようよ
-歌詞より抜粋



最初から「答え」を見つけられる訳ではない。
確信なんて、最初から持てるものでもない。

月が持つ「間接的」な魅力は、
僕が「外に出る勇気を持てた感覚」
とても似ていた。

手を伸ばしたところで、
答えには触れられない。

じゃあ、
どうしよう?

まずは、
少し近付いてみようか?

「とりあえず」でもいい。

いつか、たどり着きたい先を見つけた時、
守りたいものが解った時、

その「とりあえず」のおかげで
可能性を残せた事が、僕には沢山あったから。

小さなストレスを
過剰に大きくしてしまう想像力は

小さな幸せを
大きくできる想像力と、紙一重だと思う。

強くなる方法は幾らでもある。
弱さを知る事も、強さの1つだ。

まだまだ途中でも、
「近付いていこう」という気持ちが、
今の僕の「あかり」になっている。