第89回代議員会会長挨拶


  第89回代議員会にあたりご挨拶申し上げます。

歯科技工士の環境改善について日本歯科医師会(以下日歯)と日本歯科技工士会(以下日技)による意見交換が昨年来より精力的に持たれております。日歯では大久保先生が再選され、全国歯科技工士教育協議会(以下全技協)を加えた三団体によるこの協議会がさらに充実するものと期待しております。
大久保会長には祝意と敬意を申し上げ、引き続きのご指導をお願いいたします。

世界的な金融危機の顕在化に伴い、わが国においても中小企業の資金繰り支援対策のひとつとして、昨年10月31日より、経済産業省・中小企業庁による「原材料価格高騰対応等緊急保証制度」が開始されました。その特定業種に当初は対象外でありました「歯科技工所」が本年2月27日に追加指定されましたことは、会員各位の声を受け、本会および連盟が一丸となって関係方面への折衝・陳情を重ねた結果であります。このことによって会員のみならず、歯科技工を業とする方々の健全経営に資する選択肢が拡大されることになり、組織としてその役割を果たせたことに改めて感謝いたします。

  良質な国民歯科医療の維持・確保は、良質な歯科補綴物等の安全・安定な持続的供給が大前提であります。現在、歯科医師法や歯科技工士法に、歯科医師による「直接の国外発注・輸入に係る規定」はありませんが、歯科技工士法施行規則第12条第六号に、国内・国外を問わず「間接の再委託に関する規定」があります。それは「当該指示書による歯科技工が行われる場所が歯科技工所であるときは、その名称を記載すること」という規定であります。また、国外で作成された補綴物等の取り扱いについて、平成17年9月8日に歯科医師への注意喚起として厚生労働省医政局歯科保健課長通知を発し、さらに同年11月24日には「厳正な基準づくり」を日本歯科医学会会長に依頼されこんにちも継続しております。一方、医療法、同施行令には、検体検査、滅菌消毒、機器保守点検等「診療等に著しい影響を与える業務」の外部委託に基準を示し、健全な委託・受託関係を構築し消費者への責務遂行を果たすべく定めております。歯科医療における「歯科技工の委託」は明らかにその業務範疇にあり、同法令に明記されるべきです。日技はこれからも、無責任な委託や再委託等に厳しく対峙し、行政ならびに日歯との連携によって、必要な法令改正等を含めその責務を果たしてまいります。また、進行中の厚生労働科学研究事業の「歯科補綴物の多国間流通に関する調査研究」が間もなく纏められます。日技も要請に応じ必要な情報提供をしており、示される内容を注視しております。

  歯科技工士試験に関して申します。歯科技工士資格は昭和56年に知事免許から厚生大臣免許に改正されました。本来はこの際に統一ハードルで審査するよう改正さるべきでありましたが、歯科技工士法附則第2条「試験に関する暫定措置」により「当分の間」引き続き都道府県知事が行うこととなり、以来28年に及ぶ長い歳月が経過いたしました。もとより日技は全技協と共に早期の改正を求め続けてまいりました。その間には昭和58年3月に「行政改革に関する第5次答申」で「資格制度の試験事務を極力民間団体へ委譲を」と提起され、平成12年9月に総務庁行政監察局が、歯科技工士試験を「受験者が少数で都道府県ごとに試験問題を作成することは非効率である」とする6事務のひとつに挙げ改善を勧告されました。そしてやっと平成14年に、厚生労働省医療技術評価総合研究事業「今後の歯科技工士に対する養成方策に関する総合的研究」が始まりました。その後さらに関係者の熱意と要望によって、次年度・平成21年度の厚生労働科学研究「歯科関連職種における技術能力向上に寄与する試験のあり方の研究」として予算化されいよいよ歯科技工士の統一試験が具体的に進展いたします。日技も全力で統一試験早期実施の環境整備を図ります。ご期待いただくと共にご支援をお願いいたします。

  今春卒業生を輩出する広島大学歯学部口腔保健工学科による歯科技工士養成は、歯科技工士をデンタルテクニシャンからオーラルエンジニアヘと高め、歯科医療・歯科技工分野のパイオニアの育成を目指し、すでに修士課程が設けられ、さらに博士課程設置も検討されております。日技としてこれに対応した、経済を含めた相応しい歯科技工環境構築の役割を強く認識するものであり、また各歯科技工士養成機関が、設立母体それぞれに責任あるご判断のもと、高度化に向け真剣かつ積極的に取り組まれることを切望いたします。いつまでも総論賛成・各論反対では先に進まないのではないでしょうか。

  昨年11月号の日技機関誌に歯科技工士法に違反する不適切な広告を掲載し、ご迷惑をおかけした各位には衷心よりお詫びを申し上げます。その後、従前の慣習を廃し責任ある掲載を可能とするべく検討を重ね、結果として新年度より広告および印刷を新体制に移行することといたします。また、会員各位への情報提供手段を、ホームページの充実とタブロイド速報形式による伝達、学会誌との連携等により、機関誌の発行が財務的にも健全に今後も継続できるように考えてまいります。

  最後に新公益社団への移行について申します。「変革」という社会の大きなうねりの中では、その時々において個であれ組織であれ、的確・適切な対応が求められます。同時にそれはそれぞれが硬直した足元を見つめ直し、惰性や甘えを廃する好機でもあります。日技ではすでに内部に設置した「公益法人改革検討委員会」と「組織機構改革推進日技検討会」が新しい定款の作成、機構改革等について検討を重ねております。日技は歯科医療専門職の組織として、さらなる社会的役割が発揮できるよう、誇りある対応によって「公益社団法人日本歯科技工士会」の認定の獲得を進めてまいります。

  本代議員会も議長団差配のもと、構成員各位の前向きな充実のご議論によって、明日の明るい歯科技工界の構築へと繋がることを願いご挨拶といたします。


平成21年3月20日                     

社団法人 日本歯科技工士会

会 長  中 西 茂 昭