こんにちは、沙久良です桜咲く

今日は寝不足でちょっと…いや、かなり妙な方向でテンションが高い私です 汗☆寝れなかった理由は、作りたいアクセサリーがあってそれの構想を練っていてら脳が覚醒したまま眠気が来なかったという、自業自得な理由ですけどね
作りたい物もたくさんあるけど、時間と技術が追い付かないですよね。もっと鍛錬して上手にもなりたいし、時間の使い方も見直さなくっちゃだわ。


さて、大変お待たせしました、秋水の涙雨の続きです滴 旅行中にはぴーちゃんにも「まだ~?」と急かされた続き物。頑張るよ~ 
前回はこちら↓

秋水の涙雨9 ~君は私だけの人。O氏の独占欲~

これも東京出張までには書き終えたいよねぇ…顔


10です滴


タンタンとヒロヒロ姉ちゃんがエステに行っている間、ぽにょちゃんと温泉へと入って運転の疲れを癒した 新館の浴場は、皆生の海を眺める事が出来る露天風呂がある。源泉かけ流しではないので、私はここに長く入ると肌が赤くなってしまうので全身で浸かるのは短めにし、足湯の要領で楽しんだ。
旧館の浴場は風景こそあまり良くはないが、源泉かけ流しなので私の肌も赤くはならない。湯を選ぶか、風景を選ぶか、いつも悩むところだnayamu*

思えばタンタンと初めて宿泊したのも華水亭だった。あの時はO氏に何かされるんじゃないかと終始ビクビクしていた。あれからもう5年も経つ。あの夜約束してくれた事は今だに叶っていはいないが、同時に私はそれを叶えて欲しくもない自分がいるのにも今は気付いていた。


「お前を解放しよう。伴侶となる者と逢わせる。」


そう言われ、嬉しくもあり、同時に哀しくもあった。
前々からの知り合いではあったけど、急に距離が接近し、O氏に言われたのだからと、その人と夜の東京を歩いた。


けれど、何かが満たされない…。
何かが違うと心のどこかで声がする…。



そして、何事もないまま離れ、今に至る。


今も彼を忘れそうになると、彼から連絡がある
けれど、それはあの夜の様な甘酸っぱい想いを思い出させるようなものではなく、ただの生存確認の様なメールだ きっと、これから先もそんな感じで関係は続くのだろう。

それはそれで悪くはない。
むしろ、何もなかったからこそ普通に接することが出来る。良い友の一人となった彼と、いつかあの夜はこんな気持ちだったんだよと、笑いながら想いで話として話す日も来るだろう。


そう思うと男女の縁というのは不思議なものだ。
あの何かが違うという気持ちを無視して進んでいれば、O氏が言った未来が待っていたのだろうし、選ばなかったからといってそれがまったくなくなったのではなく、別の男性へと繋がれるのだからりぼん
そして、次はもっと自分が静かに、深く、穏やかに愛せる相手へと繋がるのだろうりぼん

若い頃は情熱的で激しい感情が恋愛だと思っていた
けれど、こうして歳を重ねる度に、そうではない感情の恋愛の方がより深く相手を愛しているのだと気付く事が増えた。自分勝手な恋愛感情が、ちゃんと相手を観て相手を考える恋愛感情へと成長したのだから、この5年は無駄ではないのだろう。

浅い恋愛が悪いという訳ではない。ただ深く熟成した恋愛も悪くはない、と思うようになっていた心 良いとか悪いとかで白黒はっきりと付けられるものではなく、ただその時の自分に適した愛し方があるだけなのだろう。
自分が思うようにするか、相手に委ねるか、これによっても結果は大きく変わるし、その時の感じる想いも変わる。同じ出来事がもし今後あったとして、私は5年前の私とは違う選択をするのだろうし。

そして、これから5年経った時、私は今の私を振り返り、若かったなと苦笑するのだろう苦笑



「そろそろ上がろうか。」

ぽにょちゃんに声をかけて、エステルーム花花くらぶへと向かった歩く 少人数で運営しているエステなので、施術中は待合室に誰もいない。そこで雑誌を広げて2人で読みながらタンタンとヒロヒロ姉ちゃんのエステが終わるのを待った。

5分くらいして二人が施術室から出てくるflower*おはな♡

「気持ち良かったです~。」

とろんとした顔のタンタンとヒロヒロ姉ちゃんflower*おはな♡ 60分フルボディーコースへと延長したので、全身が癒されて満足げな顔だったにこ
そして、入れ替わりで私とぽにょちゃんが施術室へと入る。

浴衣を脱いで、紙ショーツをはいて施術ベットへとうつ伏せで横たわり、タオルを被ってエステティシャンが来るのを待つ。
薄明かりの中、アロマオイルの良い香りが眠りを誘う~ エステティシャンの柔らかな手と細やかな指の動きと温かさがさらに眠気を誘い、うつらうつらとしながらいつのまにか夢の中へと意識が落ちた

半落ちとでもいうのだろうか。エステティシャンの時折確認する声は聴こえるし、答えもするが、意識の核となる部分は静かな闇の中に落ちている。
闇といっても、暗く澱んで冷たい世界ではなく、温かく見渡せば星々が輝いて見える様な意識の闇の中だった

その意識の星々を眺めていると、過去付き合った男性の顔や、先程温泉で思い出していた彼の顔が見えた。


(ああ、あの時は本当は違うと思いながらも、本当はその胸に体を預けてしまいたかったんだよ。そして、違うって想いを払しょくしたかったんだよ。
貴方が私を抱きしめたくても抱きしめられなくて躊躇して、手を繋ぐことすら二人っきりになると恥ずかしくて出来なくて、お互いにちらりと視線を交わしては反らして、でもふと肩を寄せて様子を伺う、本当に少年少女の様な夜だったね…。)



すーっとその時の情景が甦り、走馬灯の様に過ぎ去っていった~


(20代の時に結婚を考えた人と駄目になって、もう2度とこんな恋は出来ないと何年も思っていたけど、そんな私をちゃんと恋は出来ると教えてくれた大切だった人。
けれど、それももう今は過去の事で、私はまた新たな気持ちを芽生えさせ、そしてその想いに戸惑い、認めたくなくて蓋をしたんだ。その蓋を開けない頑丈な鍵と扉の様に、私は沙久良という人格を完璧に作りあげていったんだ…。もう沙久良で抑えるのも限界なのかもしれないね……。)




夕がO氏にプロポーズされたら、私はどんな気分になるのだろう?
押し込めた気持ちが噴出して、それこそ嫉妬に狂う女になるのだろか?
それとも、ふ~んと傍観して終わるのだろうか?
それとも、自分の予想のつかない結果がまっているのだろうか?




キラキラと、輝く星空の様な心の奥深くには深淵の闇がある闇
玉様を呑みこもうとしていた闇さえも呑み込めなかった、暗く氷よりも更に冷たい闇がある闇
今まで誰一人この闇を融かす事など出来なかった。触れる事すらも出来なかった。


甘酸っぱい恋の想い出は、こんな想いを再び思い出させてくれて嬉しいと感じながら、この闇を更に冷たく凍らせる役割を果たしてくれた
恋をすればするほど闇は深く冷え固まる 
男性から愛を注がれれば注がれるほどに強固に偽りの笑顔となって表に現れる。本当の私と、偽りの私との溝をどんどん作り出す。



なのに、O氏だけがちょっとずつこの闇に触れ、融かしてゆく蝶々white

もうこれ以上は触れないでほしい。融かさないでほしい。

溢れた感情を、私は抑える術など知らないのだから……。





矛盾する様に記憶を反すしては打消し、打ち消しては反すし、幾度となく繰り返したかは定かではない。
けど、そんな私を夕が優しく包み込んでくれる桜


『大丈夫、大丈夫。だっ私と祐は一つなんですもの。祐が本当だと思っている自分も本当だけど、祐が偽りだと思っている自分も祐の本当の姿なのよ。どちらかだけと区別を付けないで。
命様は指輪を二つ下さった。この意味はちゃんと分かるでしょう?分らないと言って誤魔化さないで。誤魔化してまた蓋を強固にしないで。
私も祐も同じ気持ちをちゃんと持っていて、その二つをちゃんと命様は受け止め、受け入れてくださるから……。』



子守唄の様なその優しい声音に安心し、ぐるぐると止めどもなく巡る思考を止めた。

(…そうね、私一人考えてても結果なんて出ないし、それに悪い方向へと思い詰めるだけだわ。今はただ流れに委ねよう。それでいいんだ…。)

そう、どこかで救われたいと心から願っている。きっとそれが本当の私の願い心・・・ そしてそれを口にせずともO氏に気付いてほしいと切に願っている桜咲く

(きっとこの想いも、夕へのプロポーズと供に報われるんだわ…。)

荒れ狂う波の様になっていた心が次第に凪へと変わっていく。
耳を澄ませば聞こえてくる皆生の波の音は、どこか私の心と繋がっている様だった海


11へ続く滴