先程、恙無くアチューメントを終えましたのでご報告しますキラキラ

いつものように開始のお知らせをブログに更新しました後、名前を書いた形代を取り出し、読み上げ息を吹きかけると、墨色の名前が揺らいで浮かび上がり降り立ちました。
晴天なので放射冷却現象で空気の冷たい金屋子神社周辺、横に流れる清水の気も合わさって、まるで凍る一歩手前のような冷たさに、名前たちは身震いをしていました。

『身震いは武者震い、いいじゃないか、皆、やる気満々だね。』

そう金屋子神のお声がすると同時に、甘い綿菓子のような桂の落葉の香りが風に乗って境内から漂ってきました。


『今年も八百万の神々が大急ぎで駆け抜けるから、境内はこんな感じだけど許しておくれ。』

笑いを含みながら仰る金屋子神の声に導かれながら進んでいくと、階段の手前で秋色の桂の葉が何枚も飛んできて、1枚1枚に名前たちを乗せて運んで行きます。


その後を追って階段をのぼり、随神門をくぐると、ちょうど境内を陰と陽の光が半々になっていました。


『陰極まりて陽を生む、今は夜という陰から朝日という陽が生まれ、これから昼に向かって陽が増す。
人の人生だって陰陽の繰り返しさ。悪い時ばかりじゃない。全て半々。どっちの記憶を多く残しているかで心持ちも変わる。
さ、極まって広がる陽の気を浴びて、悪しきものなんぞ浄化してしまいな。』

そう声がすると、名前たちを乗せた桂の葉は、太陽の光が燦々と降り注ぐ方へと移動していきます。


眩く差し込むその光が、陽の剣となって名前たちの足元を斬り裂いていきます。斬り裂かれた瞬間、ギャッといくつもの悲鳴や唸り声が上がり、足元に黒い靄が渦巻きました。その渦の中には、人もいれば動物もおり、また人とも動物とも区別のつかぬもの、鬼や妖怪のような容貌のものまで様々です。それらが一塊になると、さらに眩い陽の光の剣が空からさし、中心を貫きました。

すると陰から陽が生まれるように光が生まれ、徐々に広がって大きくなり、名前たちを包みこんだ後、パンッと弾け飛びました。
弾けた光の眩しさに目が眩み、名前たちはしばらく何が起きたのか理解出来なかったようですが、やがて目が慣れると、名前全体がたたらの炎のように燃え上がっているのに気づきました。

『たたらの炎は赤や黄じゃないんだ。青や赤紫、白なんだよ。揺らめくさまはまるで朝焼けの空だ。山に育まれ、水にさらされた黒い砂鉄は陰そのもの。その陰を炎で燃やす様は、まさに陰極まりて陽を生む。
それぞれの炎はこれまでの生きた証で、その生きてきた中でのたくさんの苦労や試練、流した涙や気持ち、湧き溢れて抑えられない怒りがあんたたちの砂鉄だ。
その砂鉄をさらに燃やして純化し、あんたたちだけの玉鋼を創るのさ。』


そう話終えると同時に、金屋子神が姿を現されましたメラメラ 
ベルベットの黒のような光に当たると風合いの変わる厚い布地に、赤い珊瑚や瑪瑙を縫い付け、金糸銀糸で炎を刺繍されており、神在月の特別な御召物なのだなと一目で分かりますがキラキラ

『さあ、その炎で今あんたたちは、それぞれがそれぞれのたたらだ。その炎を絶やさぬように、これまでの陰な思いをその炎の中へと入れるんだよ。』

ニヤリと笑い、名前たちにこれまでの辛かったり、悲しかったり、腹が立ったり、苦しかったりなど、様々な思いを思い返しては、燃え盛る自身の炎へと投入します。投入する度に、炎はボッと燃え盛り、メラメラと高く上がる炎は、境内を照らす篝火のようでした。

『さあ、ノロが出る。それは不純物、そのまま地に流せば冷えて固まるから問題はないよ。』

名前たちの足元から、溶岩のように赤から橙のドロドロとしたノロが出た後、広がりながら冷えて黒く固まりました。それはまるで魂が流した血の涙が固まったようです。それだけの思いを抱えていたことに驚く名前もあれば、静かにみつめるだけの名前もあり、またはホッとしたような名前もありました。

『さて、良い感じにケラが出来てきたね。そろそろ熱を冷ますとしよう。着いてきな。』

そう仰る金屋子神の後を追う名前たち、向かった先は奥宮でした神社


奥宮はより一層空気が冷たく、吐く息が白くなります。その吐く息が幾つも集まると、白い靄のようになり神秘的でした。


金屋子神の後をついて進む名前たち、鳥居をくぐった瞬間、奥宮の方から光が差し込みます。

『ここでも陰極まりて陽を生む、だ。さあ、ケラを冷まして砕き、あんたたちの玉鋼を取り出すよ。』


奥宮にたどり着く頃には、名前たちの燃え盛っていた炎も消え、名前全体が冷え固まるケラのようでした。
そんな様子を確認した金屋子神、大きく右手を振り上げた後、その掌に陽の光を集め、次の瞬間勢い良く振り下ろします。

瞬間、眩い陽光が名前たちに差し込み、ケラが砕ける音がしました。

名前たちの中から、虹色に輝く玉鋼が生まれたのですキラキラ

『それがあんたたちの魂の玉鋼だ。これをどういう形にするかはあんたたち次第だ。剣にしようが、刀にしようが、またそのまま持っていようが好きにしな。
何にしてもそれはあんたたちを護る。あんたたちに近寄る悪しきものを跳ね除け、斬り裂くんだ。

そして、身軽になったあんたたちは新たな世界へと上がる。それぞれ好きな高さに上がるといい。魂は上がれば上がるほど空間の広さは増し、自由に羽を広げて羽ばたける。のびのび好きにすればいいさ。
余裕があれば人は他人にも優しくなれるからね、争いだって当然減る。

もちろん自分自身に対してもさ。自分を必要以上に責める事も、追い詰める事も減る。減ればまた余裕が生まれ、軽くなり、上がれる。
上がれば上がった先の縁が繋がるのさ。下には重い縁が落ちて繋がらなくなる。

これから離れる人がいればそのまま離れればいい。無理に引き揚げなくていいんだ。皆、それぞれ居心地の良い高さがあるんだから、無理に上げるなんて余計なお世話だし、手を差し伸べるという事は、おんたたちだって下がるんだ。それを覚えておくといい。下がる時はしゃがむくらいにして、手を差し伸べるのも、本当に困っている人や大切な人だけにしときな。

全部自己責任さ。見返りは求めるな。手を差し伸べた人が良くなる事を求めるのだって、見返りを求めているのと一緒だよ。
全ては自らの為に自らする事。外を変えるのではなく、自らを変える事、そうすれば取り巻く世界は変わり、どんどん良いように広がっていく。自分の居心地良い世界、そして日々の穢は燃やし尽くしてまた玉鋼を創るといい。いつでも繋がって、魂のたたらを創るのは手伝ってやろう。

皆がそれぞれの魂のたたらの村下だ。責任者てして、人生の玉鋼を生み出していくといい………。』

そう言い終えると同時に、金屋子神はたたらの炎のようになって姿を消されますメラメラ
そして、名前たちはその炎を受けてそれぞれの玉鋼を輝かせ、その輝きの中に姿を消し、アチューメントは終了しましたキラキラ





今日のアチューメントをお申し込みくださった皆様、ありがとうございましたm(_ _)m
皆様のこれからが、たくさんの幸せで満ち溢れますようにキラキラ


沙久良祐帆 拝