〜 side 翔 〜
死に物狂いでリハビリやった。
やってもやっても
不安は消えなかったし
やってもやっても
希望も消えなかった。
周りからは驚かれた。
何度も『すごい』と言われた。
歩けるようになった時は
親は大泣きしてた。
でも……
それから数週間後………
医師から呼び出された。
櫻井さんの懸命なリハビリの成果によって……歩けるようになりましたね。
これは驚きの出来事です。
神経が
リハビリによって繋がったと考えられます。
ですが……
1割の「細かいコントロールを司る神経」だけがどうしても死んだまま戻りませんでした。
足の裏です。
もうこれは固まってしまってます。
リハビリしても遮断が繋がることは、ありません。
ーーー足の裏?
そう。足の裏です。
特に親指の付け根の膨らみの感覚が完全に麻痺しています。
日常生活には支障はないでしょう。
歩くことも走ることもジャンプすることも可能です。普通に歩けますし、ジョギングもできます。階段の上り下りも問題ありません。靴を履いていれば、麻痺していることすら忘れるレベルです。
ですが………
プロのサッカー選手には………
残念ながらなれないと思われます。
「そんな!!!なんとかならないんですか!!!この子はずっと何年もサッカーやってきて!!!」
親はそんなふうに横で言ってたけど……
医師の言うことは
俺が一番、理解できた。
足の裏に感覚がないということは……
ボールの感触が分からず、トラップやパスがズレる。
足にボールが当たった感触が分からない。
目で見ないとボールがどこにあるか確信が持てないため、プロのスピード感の中では、トラップが10センチずれたり、パスの強弱が狂ったりする。
……サッカー選手としては致命傷だ。