パーソナルコーチ Lemurian Recordの赤間です。

「世界が自分の住む場所」という超感覚で生きている道産子の体験をご紹介しています。

アフリカ、ソマリア。

真っ青な海と、どこか懐かしさを感じさせる街並みに期待を抱き、私はこの国を楽しみにしていた。

テレビ番組「なるほど!ザ・ワールド」でソマリアが紹介された。
そのソマリアの商店街の壁に描かれたイラストを見ることが一番の楽しみだった。

ソマリアの首都にあるモガディシュ国際空港に降り立った瞬間、熱気と砂埃、そして重たい視線に包まれる。
ここが、私が一歩踏み出した「本当の世界」だった。

入国審査の入り口には、自動小銃を持った警備員が、周囲を監視している。
至近距離で、大きな銃を見たのは初めてだった。

列に並びながら、少しだけドキドキしていた。

パスポート、ビザ、滞在先の書類は完璧。
自信を持ってカウンターに進んだ。

係官は無表情でパスポートを受け取り、パラパラとページをめくる。

そして、スーツケースの中身をチェックするように指示してきた。

スーツケースを開けたとき、それは起こった。

コクヨのノートの表紙に大きく書かれた「Somalia」という文字が飛び込んできた。

そこには、日本で調べたソマリアの旅行についての情報、治安、民族などの調査した内容がしっかりと書かれている。

ノートを手に取った係官の顔色が変わった。
眉間にしわを寄せ、部屋の奥にノートを持っていった。
そして、そのまま待つように指示された。

頭が真っ白になった。
「もしかして、スパイと疑われて捕まるのかな」
時間だけが刻々と過ぎていった。

窓の外に、ソマリア在住の知り合いの顔が見えている。
私が出てこないので何かを察知したようだった。

その知り合いは入国審査の部屋に入り、係官に強い口調で喧嘩のような言い合いを始めた。

しばらくして、係官がノートをもって戻ってきた。
ノートの中は日本語で書いていたので、内容についていは知り合いが詳しく説明してくれたようだった。

安堵と同時に、後悔の念がこみ上げた。
たった一冊のノートが、ここでは「何か危険なもの」に見えてしまう。
情報を知ろうとすることが、逆に誤解を招くこともある。
そんな当たり前のことを、私は初めて肌で感じた。

建物を出ると、乾いた風とまばゆい陽射しが出迎えてくれた。
迎えに来た知り合いは、何事もなかったように、用意してくれたタクシーに私を載せてくれた。

ソマリアの首都モガディシュの街はとても美しく、子どもたちの無邪気な笑顔が印象的だった。
ソマリアは、怖いだけの場所じゃなかった。

旅をすることは、世界のリアルに触れること。
そして、知らない文化の中で、「知りすぎる怖さ」もあることを知ること。

あの日、モガディシュの入国審査で学んだ教訓は、私の旅人生にとって、きっと大切な財産になる。

続く

(文)Lemurian Record 赤間

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