先日発表されたANAの新しい次期経営戦略 について雑感を…。
●国際線旅客事業においては「首都圏デュアル・ハブ構想」を展開、さらなる航空ネットワークの充実を図る
→羽田国際線の本格運航開始後も成田での拠点機能を低下させず、成田/羽田の2大拠点を機能させるということでしょう。
●首都圏以外において、市場特性や採算性を重視した新たな内際航空事業モデルを進める
→内際兼用機であるB737-700を効果的に運用した、観光需要に特化した地方発着の国際線運航を示唆しているのでしょうか。ANAが本格的にLCCの設立の準備を始めるようです。
●オープンスカイ環境下で外航各社との戦略的提携を深化させ、航空事業の収益向上を図る
→現在CO/UA/NHで水面下交渉していると言われている、包括的な業務提携ですね。
例えば太平洋線やアジア線で各社相互でスケジュールを調整して、等間隔での運航など。
●需要面・競争環境面での大きな変化のなか、国内線における需給適合をさらに強化し、収益性の堅持を行なう
→例えば幹線においてもB737を効果的に運用し機材のダウンサイジングを行い、客単価の底上げを図るのでしょう。B747-400Dは同クラスの後継機導入は行わない公算が強いです。
●貨物事業において、沖縄ハブを活用したエクスプレス事業の展開と定着を図る
→何故この時期にJA601F~JA603Fをラインアウトさせるのでしょうか。
●ダイナミックな環境変化の下、国内・国際、第三国間乗継、訪日需要など、ビジネス需要から観光需要までグローバルにマーケティング力を強化する
→海外での集客力がSQ/CXに比べると非常に劣っているのが現状の日系です。これらの需要を取り込むことができれば日系の航空会社は世界的にも競争力の強い航空会社になれると私は思います。
●「新たな運賃・制度」の導入とレベニューマネジメント機能の更なる強化を通じて「ユニットレベニュー」の最大化を図る
→イールドマネジメントに特化した変動性運賃の導入が望ましいのでしょうが、現状の国内ルールでは運賃種別毎に国交省への事前認可が必要で、機動的な変動性運賃の導入にはまだ課題が残ります。
●インターネット販売の強化を加速度的に進め、お客様ニーズに的確かつ迅速に対応できるスリムな販売体制の構築、予約センター機能の移転・集約などを実現する
→有人販売を順次削減ということでしょうね。電話対応も拠点を集約することにより、コストを削るのでしょう。
●現行の一律提供するサービス体系を見直し、お客さまニーズに応じた有料サービス(Pay for Value=「ANA My Choice」)を拡充する
→やり過ぎは顧客の印象を悪くするので、慎重に行っていただきたいものです。
●新しいANAグループ本社・本部の機能集約と拡充により、2011年度までにグループ経営管理体制を一層強化する
→人件費抑制の大儀のもとに肥大化してしまったグループ企業群の再編を本格的に行うようです。
現在7社あるグループ航空会社を3社に集約させます。
①ANA+エアーニッポン
②エアーニッポンネットワーク+エアーネクスト+エアーセントラル
③エアージャパン+ANA & JPエクスプレス
以上を2011年度までに統合して3社体制とするようです。
●道内路線の千歳空港への集約など効率的なネットワーク形成をさらに進める
→単純に丘珠空港からの撤退を示唆していますね。
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これらの計画が実行されたらANAグループは非常に筋肉質な航空会社になるでしょう。