人気ブログランキングに参加しています
応援をよろしくお願いします。
　
人気ブログランキングへ

野田首相が党首討論で解散を宣言した瞬間から、わが国の景気回復は始まった。
安倍総裁が掲げる三本の矢への期待感がそれまで沈み込んでいた景気の「気」を一気にポジティブなものに変えたからだ。

その後、消費増税という大きな障害もあったが、三本の矢を放ち続けることでその悪影響を何とか乗り切り景気後退を防ぐことができた。その結果、第二次安倍政権が発足した2012年12月から直近まで景気回復局面が続く見込みとなった。

（月例経済報告等に関する関係閣僚会議資料）より
https://www5.cao.go.jp/keizai3/getsurei/2019/01kaigi.pdf

ただ、この戦後最長の経済回復もマスコミの手にかかると批判の対象になる。
彼らの世論調査で「アベノミクスで景気回復の実感はあるか？」と聞いても「ない」が圧倒的に多いことがその根拠になっているのである。

景気回復なぜ実感ないのか？
ＮＨＫ　2019年1月29日 17時52分
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190129/k10011795491000.html

実感がない理由の一つは、今回の景気回復期間の平均経済成長率は「実感なき繁栄」などと言われた小泉・安倍政権時と似たりよったりで、高度経済成長期やバブル期の成長率とは比較にならないほど低いことだろう。

ただ、ほとんどの経済指標が大幅に改善していることも事実だ。
自分自身には景気回復の直接の恩恵がなくても、身の回りや世間に視点を広げれば「景気は回復している」と思える人は多いのではないか。

例えば、年金生活者の場合、自分の収入が増えていなくても、子や孫の収入が増えたり住んでいる町や出かけた観光地が気づいていれば「景気が回復している」と感じるだろう。

つまり、個人の「実感」の有無を問うのではなく、「わが国の景気は回復していると思うか？」のように客観的な視点での評価を問うべきなのだ。
このように聞き方を変えれば数字はかなり変わるはずである。

また、「アベノミクスで」ではなく「民主党政権時と比べて」のように、比較対象を明示すればさらに高い数字になるだろう。「民主党政権」時の沈み込んだ気分を思い出せば、その後ゆるやかとはいえ景気回復が続いていることがもっと実感できる。

そもそも、景気が回復しているからこそ「景気か？回復の実感」を聞けるのであって、民主党政権時代にそんな質問はナンセンスだ。ところが、マスコミの世論調査は漠然と「実感は？」と聞くことでアベノミクスの成果を過小に評価しているのである。

ところで、個人の実感に大きく影響しそうな自分の収入に対する満足度も全ての世代で民主党政権時代より改善している。
例えば、内閣府の「国民生活に関する世論調査」でも次のような結果となっている。

消費増税のあった2014年以降に全体の落ち込みが見られるが、2012年と比較すればすべての年代で改善している。
少し見にくいので、現役世代と高齢者世代を分けてみた。

現役世代のほうが、よりアベノミクスの恩恵を受けていることが分かる。
高齢者の満足度があまり上がっていないのは、年金額がほとんど不変なためで、途中でかなり変動しているのは所持する金融資産の評価や配当の変動を反映しているのだろう。

そして、収入も含めたトータルで「現在の生活に満足しているか？」と聞いた結果が次のグラフだ。

同じく「国民生活に関する世論調査」の結果から。

（データで見るアベノミクス２０１９年１月版）より
https://www.gov-online.go.jp/tokusyu/abenomics/assets/images/Abenomics_pamph.pdf

これを年代別に見るとこうなる。

アベノミクスが始まる前と比べて全体の満足度が上がっているが、特に若い世代、現役世代が顕著だ。景気回復も収入増も重要だが、それも含む全体で「現在の生活に満足している」と思える人が増えることが政治の大きな目標の一つだと考える。

繰り返すが、現在の景気回復は高度経済成長期やバブル期と比べれば実に緩やかだ。
ただ、その当時を知っているものとして思い出すのは、高い経済成長の恩恵ではなく、その後の景気低迷期の苦しさのほうだ。

高度経済成長が終わった後も現在と比べてはるかに高い成長率を維持していたが、職場では技術職が営業に回されるなど思い出したくもない様々な変化が起きた。突っ走ってきた反動がきたのだ。バブルがはじけた後も同様だった。

高い経済成長は税収を伸ばすなど様々なメリットをもたらす。
しかし、その成長が少し鈍るとＧＤＰは増えていても世間には不況感が漂うことになる。
経済成長率は大きい方がいいが、変動幅は小さい方がいいのである。

そう考えれば、少子高齢化というすぐにはどうにもならない課題を抱えたなかでも緩やかな成長を続ける現状は案外いいのではと思えてくる。
あまり無理をして大きな反動が来るより、緩やな成長が長く続く方がいいと。

とはいえ、いまの成長率は少しつつましすぎるとも思う。
名目で３％、実質で２％程度の成長率になれば「いい経済成長」になるのだが。

（以上）

人気ブログランキングに参加しています
応援をよろしくお願いします。
　
人気ブログランキングへ

いい経済成長 悪い経済成長

いい経済成長　悪い経済成長