人気ブログランキングに参加しています
応援をよろしくお願いします。
　
人気ブログランキングへ

田崎史郎氏の『安倍官邸の正体』によると、首相官邸には隠し廊下があって官邸詰めの記者に気付かれずに首相執務室に入ることができる。しかし、これは官邸スタッフが使用する内廊下のことで、政治記者ならみんな知っているのである。

同書によると、官房長官、副長官、首席秘書官などがほぼ毎朝首相執務室に集まり短いが重要な会議が行われる。ただ、その時には来客などが通る外廊下ではなく内廊下を通るから首相番記者には見えない。だから新聞各社の首相動静には掲載されないのである。

また、官邸には番記者たちが張り込んでいる正面玄関以外に少なくとも三か所（田崎氏でも正確には知らないらしい）の出入り口がある。だから、枝野氏が言うように官邸スタッフはもちろん、外部の人物が記者に知られずに総理に面会することも可能ではある。

飯島勲氏によると、民主党政権時代には逮捕歴のある左翼メンバーも出入り自由だったそうだから枝野氏の指摘は間違ってはいない。入れ墨おばさんなど、正面玄関からではまずい連中も頻繁に出入りしていたのである。

関連拙エントリ『まだまだお粗末　政府の情報セキュリティ』2017-03-01
https://ameblo.jp/akiran1969/entry-12252314377.html

さて、では問題の2015年2月25日に加計理事長は安倍総理と本当に面談したのだろうか。
もっとも詳細な時事通信の『首相動静』を確認しておこう。

（時事通信　首相動静から）

　午前７時４８分、公邸発。同４９分、官邸着。
　午前７時５０分から同８時１３分まで、加藤勝信官房副長官。
　午前８時５２分、官邸発。同５３分、国会着。同５５分、衆院第１委員室へ。同９時、衆院予算委員会開会。
　午後０時２分、衆院予算委休憩。同３分、同室を出て、同５分、国会発。同６分、官邸着。
　午後０時５４分、官邸発。同５５分、国会着。同５７分、衆院第１委員室へ。同１時、衆院予算委再開。
　午後２時、衆院予算委を途中退席し、同３分、国会発。同５分、官邸着。
　午後２時３３分から同５２分まで、米シンクタンク外交問題評議会のハース会長。
　午後３時から同３３分まで、毎日新聞のインタビュー。
　午後４時９分から同４３分まで、谷垣禎一自民党幹事長。
　午後５時３０分から同６時２４分まで、戦後７０年談話に関する有識者会議。同２７分、官邸発。同２８分、公邸着。各府省庁の副大臣と会食。菅義偉官房長官ら同席。
　午後８時１分、公邸発。
　午後８時１８分、東京・富ケ谷の私邸着。
　２６日午前０時現在、私邸。来客なし。（2015/02/26-00:05）
http://d.hatena.ne.jp/pm-watcher/20150225/p1

このびっしり詰まったスケジュールの中でも、安倍総理と理事長が１５分間面談できそうな時間帯は何か所かある。ネットでは「安倍総理が７時間委員会に縛られていたから不可能」との話もあるが、午後２時には委員会を途中退席している。

その後も分刻みのスケジュールではあるが、隙間の時間がまったく無いわけではない。
だから、首相動静だけでは悪魔の証明はさすがに無理なのだ。

ただ、この日の二日前には西川農水相が辞任するなど国会は大きく荒れていた。このくそ忙しい時期を選んで、わざわざ官邸で加計理事長と隠れて会う必要はない。総理と話がしたければ会食やゴルフの時にすればよく、こっそり隠れて会いに行く必要はないのである。

そうなるとネットで話題の例の文書に書かれた『２／25に理事長が首相と面談（15分程度）。』とはどういうことなのか？

この文書にはおかしなところがいくつもあって、書かれている内容も疑わしい。
ネットで指摘されているのは次のような点だ。

Ａ：全体が明朝体なのに一部がゴシック体になっている。
Ｂ：文書作成日がない。（年月のみ）
Ｃ：日付の表記や半角全角などがバラバラ。
他：コピーを重ねたことによると思われる汚れが異常に多い。

Ｂの『文書作成日』がないことだけでも信用性は薄いが、打合せ相手の加計学園側の確認も取っていない。何より、面談したとされる当事者である総理と理事長が明確に否定している。
これだけ条件が揃えば怪文書の資格は十分である。

ただ、理事長が総理と会っていないと明言した加計学園側がこの日に愛媛県と打合せしたこと自体は否定していない。だから、記述内容の真偽はともかく、この打合せが３月３日に行われたことは事実と考えてもいい。

実際、この打合せのほぼ１カ月後の４月２日には加計学園関係者と愛媛県、今治市の職員が官邸で柳瀬首相秘書官と面会している。ブログ主も忘れかけていたが、今月１０日の柳瀬秘書官が参考人招致で次のように答弁している。

参考人招致　柳瀬氏、加計側面会は３回「首相に報告せず」
毎日新聞2018年5月10日 20時28分

　愛媛県が作成した文書には、柳瀬氏は１５年４月２日に学園関係者や同県、今治市の職員に首相官邸で面会し、「本件は、首相案件」と述べたと記載されていた。柳瀬氏によると、学園事務局の要請を受け、吉川泰弘元東京大教授や学園の渡辺良人事務局長ら約１０人と面会したという。ただ、愛媛県や今治市の職員については「随行者の中にいたかもしれない」などと述べた。

（中略）

また、面会に先立つ１５年２～３月、今治市が学部新設に向けて国家戦略特区の提案をした同６月ごろにも学園関係者と官邸で面会したことも明らかにした。加計氏ら学園関係者とは１３年５月に首相の別荘で知り合ったとしたが、「（学園を）特別扱いするとか配慮するとかは全くない」と明言。首相に「報告したことも、指示を受けたことも一切ない」と強調した。
https://mainichi.jp/articles/20180511/k00/00m/010/094000c

２～３月に学園関係者と官邸で面会したと述べているので、柳瀬氏が２月２５日に官邸で面談している可能性はある。この会見内容が加計関係者と愛媛県の打ち合わせを経てこのメモが流出するどこかの段階で総理と理事長の会談に化けたのではないか。

しかし、このような怪文書でも一定の期間政府の足を引っ張る武器にはなる。
書いてある内容が以前とほとんど同じでも、出所が違うだけでまるで新発見のように問題視するやり方なら、ネタはいくらでもあるのだ。

これまでの経過を知っていれば、もし書かれていることが事実でも何の問題もないことが分かる。しかし、そんな人はあまり多くない。実は、ブログ主もＮＨＫニュースを見た時はかなり動揺した。ツイッターなどで文書内容を詳しく知るまで不安だったのである。

真偽不明で誰が書いたのかすら分からない個人ファイルでも、それをマスコミがもっともらしく報じれば信じる人は多い。そうして政府の足を思いっきり引っ張れるのである。
だから、やめられない。

このタイミングで新たに財務省から「廃棄したはずの文書が個人ファイルにありました」と出てきたのも同様だ。これまでの文書管理方法では個人ファイルの完璧な管理は不可能だから、彼らにとっては宝の山なのである

これを止めるには、まずは怪しさ一杯の今回の怪文書のウソを暴くべきだ。
そのためにも、政府・自民党は、愛媛県の担当者だけではなく、彼らに報告をしたという加計学園の担当者からもヒアリングするなど真相究明に乗り出すべきである。

（以上）

人気ブログランキングに参加しています
応援をよろしくお願いします。
　
人気ブログランキングへ

怪文書のウソを暴け