こんにちは。アキラです。

この記事は回想録になっています。
参考にされるかもしれない方の為に、子宮頸がん関連事象や、病気の症状、治療内容などストレートな表現になっていますので、気が進まない方はスルーで読み飛ばして下さいね。




円錐切除手術は香港では基本日帰り。
スケジュールによって前日夜中以降もしくは当日朝から絶食し、麻酔処置を含めて一時間程度のもの。麻酔から覚め、3-4時間状態が落ち着いて居ることを確認できたらドクターにサインオフしてもらい帰宅できる。

ワタシのオペはお昼前だったのですが、香港人遅刻が多いとかで、強制的に前日20:00に入院。日本人ですが⁈
それにしてもこれってドクターNの初診察日の夜、って言うことです。色んな意味で凄い事だと今でも思う。

翌日は、手術前にドクターNと麻酔科医が病室にやって来て簡単な説明と同意書の確認。

改めてドクターに術式を確認。
円錐切除には通常メス、電気メス、レーザーの3種のいづれかが使われる。
電気メスとレーザーは切除と同時に切片を焼くことになるので止血効果もあるとのこと。
ワタシの場合、切片にガン細胞がないかを生検で確実に確認したいので通常メスを使用するとのことだった。
レーザーってカッコイイのに、とわけの分からない事を思ったが、何が起きるかを理解できればそれで良かった。

それ以外することもない病室に1人。
そんなたった一日いるかどうかの入院とも言えない入院に、わざわざ香港の親友もチラッと顔を見るだけと言ってお土産持参で来てくれた。そういうさりげなく優しい心使いをしてくれる友人がいると言うことに深~く感謝。
手術前にもかかわらず二人で楽しくお喋りし過ぎて、看護師さんが見にくるほど。とても病人には見えなかったかと。失礼しました。

その後病院のヘルパーさん - これも香港特有でしょうか。看護師ではなく、諸雑事をこなすアルバイトのおばちゃん達で、ほぼ香港ローカルなので英語が通じない。が、スッピンで素朴な笑顔はいっぱい。よくわからないけど沢山話しかけてくれ、必要な場所まで運んで行ってくれます。- に病室からオペ室行きのベッドに載せられてガタガタと、金属と消毒薬のキンとした冷たい匂いのする手術室付近へ。

外科助手であろう医師や看護師が現れ、名前の確認、同意書の確認などを一通り。そして寒い室内の硬い手術台へ。その後山程毛布をかけてくれる。
機器が所狭しと置いてあり、ガチャガチャと器具を揃える音が横から聞こえ、大きな眩しいライトが頭上に見える。

直ぐ終わるマイナー手術だと知ってはいても急に心拍数が上がってくる。
逃げようとは思ってないが、もう逃げられない。お任せするしかない。そんな覚悟をして次を待つ。
事実、大変なのはどちらかと言うとドクターであってワタシは寝てるだけ。ドクター貴方頑張ってよねグーと言う感じですらある。

程なくして、ドクターNがスクラブ姿で登場しマスクの向こうから優しい言葉をかけてくれた。緊張してると思うけど大丈夫だから、と言ってポンポンと優しく二回肩を叩いて視界から消えた。
神々しい程に頼もしい~

酸素マスクの様なものをグッと押し当てられ数を数えてと言われた。4秒あたりから結構かぞえられちゃうんですけどと焦りつつ、7秒目を覚えていない。

意識が戻りかけたのは病室に運ばれる道すがら、ガタガタするなぁ~モウと思った時。で、その後また眠ったのだと思う。呑気なもんである。

記憶が戻った時、今度は会話が聞こえていた。病室に戻って寝ているのが分かった。
眼を閉じたまま、声だけを遠くに聞いていた。

左にドクターN、右に我が相棒氏。
ドクターからは、無事に問題なく終わりましたが、少し深めに切除しました。病理を待ちましょう。と言う何時もとは違う歯切れの悪いトーン。

ピーンと来てしまった。
半分澱みの中に居ながらも、自分には想定外の悪い事が起きているんだと理解した。

眠って居てもその場では言いにくいと思ったのか、二人は廊下に出てヒソヒソと話をした様だった。

話の中身を後で聞いたらば、、、
一度普通の深さで切除したが断面が明らかにガン病巣の顔つきだったので、更に深めに切除した。が、恐らくそれでも取り切れていないと見受けられる。
表面の見かけより中への浸潤が深く広めだったと言うことらしい。
日本で言う、顔つきの悪いガンが目視確認出来たと言うことになる。
この時点ではまだ断定は出来ないと何度も断りが入っていた様だけれど、症例を山程抱える婦人科腫瘍外科医が言うことであれば、それはもう確定したのも同然だった。

そんな事は聞かなくても直感でというか、ドクターの物言いで充分分かったワタシ。相棒氏が戻って来た時には柄にもなくうゎんうゎん泣いていた。何で~嫌だ~、と泣いたらしい。麻酔のせいよ、と強がりを言っておきたい。


病理結果は2日後。
早い。兎に角早い。

確定診断: 子宮頸がん扁平上皮癌 Ib期
治療方針: 広汎子宮全摘手術


35才初夏、子供を持つことをやっと自分の人生の中に組み込もうと前向きに考えられる様になっていたその時、時間切れの鐘が無情に鳴った。




















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