日本に住む外国人むけの雑誌「japanzine」にオレのインタビューがのる。
ううむ、オレもメジャーになってきたなあ、と思いきや、
「ちょっといいですか」
宇都宮駅を出ると警官が話しかけてきた。
でたよ、また職質（職務質問）かよ。
オレは１０月に切れるパスポートを申請し、取りに行くところだった。
「なにをなされてるんですか？」
警官は不信感丸出しで聞く。
おいおい悪人はこんな目立つかっこしねえぞ。
「音楽ですよ、ミュージシャンですよ」
東京やら空港やらいろんなところで職質を受けるオレはいいかげんうんざりとしていた。
「どんな活動をしているんですか？」
この警官をはじめ日本中が「人とちがうことは悪いこと」という洗脳を受けていることに気づいていない。
「全国で年間１２０本のライブをしてます。たくさんのチャリティーライブもしてます。外国で心臓移植を受ける女の子とか、親と住めない子供たちとか、不登校の子とか、ハンセン病の老人とか、末期がんの人とか、身体障がい者や知的障がい者とか、保育園とか、大学とか、オレの歌を聴いて泣いてくれます」
「歌を聴いて、泣く？」
５０代のおやじ警官にとって、「歌」と「泣く」という単語はまったく結びつかないのだろう。
たまたまもっていたipodのイヤホンを警官にさしだした。ダイヤルは無意識に「家族」を選択する。
どうせ半コーラスくらいでやめるかと思いきや、警官はじっと下をむき、聴き入っている。
……２コーラス……３コーラス、
ずずっ、
ん？ 鼻をすする音が聴こえた気がする。
……４コーラス、
なんと警官は７分３５秒もあるフルコーラスを身じろぎもせずに聴き終えてしまった。
「わたしもさんざん家族に苦労をかけてきました」
おやじ警官はそっと親指の内側で目頭をぬぐった。
うわっ、警官を泣かしちゃったよ！
公務執行妨害とかにならないのか。
「すばらしい歌ですね」
ええっー、これって職質だったんじゃないの！
「はあ、仕事も大切ですが、影で支えてくれる家族にやさしくやってください」
オレがアドバイスしてどうすんだ、逆人生相談かよ。
「一度家族を連れてライブにうかがいたいですね」
職質警官、青柳さん、いい人だねえ。
「あっ、あさって宇都宮でありますよ。ぜひお越しください」
さすがTHE KING OF 職質、恐るべし。
いや、歌の力というのは７分３５秒で人の人生を変えてしまうのだ。
しかも警官と不審者という社会が対立させた敵同士を和解させる奇跡を白昼堂々とおこなってしまう。
嘘だと思うなら、明日宇都宮に君の目で耳で確かめにきなさい。
青柳さん一家もいるかもしれないから。
ああ、職質が楽しみになってきたわ。
無事更新がすんだパスポート※ライブスケジュール
6月20日（土）栃木県宇都宮市「護国会館」にてソロライブ
開場16：30 開演17：30 チケット￥2000
栃木県宇都宮市陽西１－３７ 護国会館（地図） 電話０２８（６２２）３１８０
宇都宮駅からバス・タクシーで15分。バスはJR宇都宮駅から作新学院行きが15分間隔で出ています。 駐車場は300台くらい置けます。
予約：yako97@nifty.com（携帯転送）。問い合わせ：090-3242-4190（矢古宇まで）
6月21日（日）栃木県宇都宮市「キャンドル雷都」イベントにてライブ
栃木県宇都宮市江野町８－３ オリオン通り「オリオンスクエアー」（地図）
イベントは10時～21時まで。AKIRAのステージは２回あります。（１６時と１９時の予定）
6月25日（木）東京下北沢「Never Never Land」にてソロライブ
世田谷区北沢3－19－3 2F 電話03・3465・0737（アクセス。地図。京王線／小田急線 下北沢駅から徒歩５分。行き方 下北沢駅南口出る～マックとスタバがあるのでその間の通りを下る～最初の交差点を左へ~小田急の踏み切りに出たら渡る～右手に音楽スタジオノアが見えたらその向かいにNeverNeverLANDはあります）
開場19：00 開演19：30 チケット1800円（＋１ドリンクオーダー） ゲスト：志田歩
30年間下北の歴史を見つめてきた伝説のネバーネバーランドでディープな夜をおすごしください。
座席 40席程度のため ご予約はお早めに。
予約申し込み kanouhi@aol.com または 090-6018-9619 ( hideまで )
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