阿片はケシの実から取れる麻薬の一種で吸引すると陶酔感に浸れ、常用すれば中毒となり精神も肉体もボロボロに冒され最後には廃人となってしまいます。
 
イギリスにより大量の阿片が持ち込まれた中国では、阿片吸引の習慣は社会のあらゆる階層に広まりました。
 
阿片窟は阿片の販売と吸引ができる施設で、客は横になって阿片パイプを使って吸引します。
 
横になるのはオイルランプで阿片を気化させて吸引するのに長い阿片パイプを支え易いからと麻薬成分で立ってられないからのようです。
 
横になって阿片を吸う人の姿は古い写真でも目にしますが、国力の低下による風紀の乱れや人々の堕落を象徴しているようでやるせない心持ちになります。
 
 
 
 
阿片はいくら取り締まっても切りが無く、それもそのはず外国は阿片を中国に売る事で、政府の役人たちもまた阿片を扱う事で大儲けしているのだと黄(ワン)は言います。
 
 
 
上海の光と影。
 
 
「この上海では恐ろしい国際陰謀が・・・」
 
あの時、揚(ヤン)は最後に何を伝えようとしたのか?
 
 
 
本郷はその影の部分、アンダーグラウンドへと近づこうとしているのですがこれはとても命懸けの危険な事ですよ。
 
 

 
 
 
黄を連れて阿片窟を調べ回っていた本郷は偶然日本人画家の松村が倒れているのを見つけます。
 
租界の酒場で観光客相手に自分の絵を売っていた男です。
 
本郷は彼の家まで連れて行ってやりますが、狭い部屋には妻と幼い娘がいてひどい暮らしをしているのでした。
 
内地で新進画家としてもてはやされたものの描けなくなった松村は、借金がかさみそれでも昔の夢が忘れられず妻子を連れて上海に来たのです。
 
フランスへ行って勉強し直すのだと言ったって旅費は工面出来ず、かと言って日本に帰るわけにもいかず、という妻の話に同情した本郷は「何か力になれる事があれば」と優しく言います。
 
 
本郷さんいい人だねぇ。
 
 
 
 
しかしそんな本郷に黄は「関わり合いにならない方がいいですよ」と言うんです。
 
黄は松村が阿片中毒だと見抜いていました。
 
 
 


 
黄にシンジケートに繋がる中国人ボス・銭大人(チェンターレン)が接触して来ます。
 
 
 
阿片窟で黄が西洋人とケンカしてたのを見てたと言って、黄に誰か男を一人探してほしいと依頼してきます。
 
 
 
 
 
黄はまだ二十歳になるかならぬかで、女性的な容貌の綺麗な青年なんですがカンフーを使うしガチで強いんです。
 
本郷は「なんて街だ!」とこの街に驚いたり憤ったりしますが、一番わからないのはこの黄の正体なんです。
 
こいつは一体何者なんだと一緒にいればいるほど謎が深まるわけです。
 
 



「今日はこれで四軒目だ。足が棒ですよ」と訴える黄に「何の為に一日二十元払ってるんだ!」と怒る本郷(笑)

やれやれと黄は煙草を一本所望します。



 
 

 「お前さん、やっぱり日本人だろう?」
 
日本の煙草は久し振りだと言う黄に、本郷は自分の疑問をストレートに言ってみます。
 
黄は「前に住んでた事があるだけですよ」とはぐらかします。
 
あきらめの影がさすような寂しげな微笑に本郷はそれ以上何も言いませんでした。
 
 
 
 
 
本郷と黄のコンビネーションが面白くなってきます。
 
 
「大人(ターレン)。二週間も歩き回って手がかりひとつなくて、こんなバカバカしい事いつまで続ける気ですか?」
 
「上手くいきゃ特ダネもんだ!」
 
「特ダネ・・・って、あまり出世しそうなタイプに見えないけど」
 
「ほっとけ!自分で悟ってるよ」
 
「じゃあ、何だって。あんたにとっちゃ他人事だろうに」
 
「好きじゃないんだよ。このままにしとく事が」
 
 
 
 
 
 
この二人はたまたま知り合い、まだ上海に来たばかりで現地に暗い本郷にとっては黄はとても頼りになるガイドです。
 
黄はこの風変りな日本人にちょっと興味が出てきてるんですよね。
 
租界で外国人が優雅な生活を謳歌している裏にはあからさまな中国人蔑視がありました。
 
本郷はジャーナリストの正義感からなのか弱者である中国人の側に立とうとします。
 
黄はそこを気に入ったんだと思うけど、同時にそんな本郷の義侠心なんてすぐに潰えてしまうに違いないってわかってるんです。
 
わかってるんだけど、黄はまだ若いから何かを信じたいんでしょうね。
 
 
 



やあ、この間はすまなかった。と以前、梨華(リーフォア)に絡んだ日本の軍人が本郷に声をかけてきました。


 
 
 
彼は海軍中尉の鬼怒川だと名乗ります。
 
軍人は嫌いだと本郷が言うと面白い男だと怒りもしません。
 
そんなに悪い人じゃないのかも。
 
本郷は彼から影村月心の消息と一緒に、驚く情報をもらいます。
 
革命抗日分子でコードネーム「黄龍(ワンロン)」という若くて凄腕のテロリストが今、仲間たちから裏切り者と呼ばれている───
 
その男は黄に似ていると聞かされます。
 



 
 
 
松村の妻がウチの人が三日も帰ってこないと言って来たので、本郷はもしやと思い阿片窟へ行くと松村はもう重度の中毒症状でろくに話もできませんでした。
 
どこでこんな金をと問い詰めると、黄に紹介され密輸の運転手をしていた事がわかります。
 
松村がこんなになったのはお前のせいだと思わず黄をぶん殴る本郷。
 
ところが逆ギレした黄に「日本を食い詰めて上海まで流れてきて、みじめな生活を送る人間のクズなんかどうなったって知るものか。日本人なんて大嫌いだ!」と言われてしまいます。
 
なんかもうむなしくなっちゃう本郷。
 
 
 
 
 
降り出した雨の中を傘もささず黄は一人海を見ていました。

心中に去来する思いは、松村の幼い娘とだぶる自分が子供の頃の情景です。
 
たぎる怒りよりも無力感が悲しみとなって、黄の心を深く重く締め付けました。
 
 
そこへ、さりげなく本郷が・・・
 
 
黙って傘をさしかけてくれました。
 
 
本郷さんは大人♡
 
 
 黄の謎はまだ明らかになりませんが、二人は再び行動を共にし銭大人の取引の現場へと踏み込みます。

そこにはチャイナクイーンの姿も(このネーミングがww)

 
 

取引現場は銃撃戦となり本郷は撃たれてしまいます。

松村も口封じで殺され、チャイナクイーンには逃げられ何の収穫もなかった本郷またまたむなしくなっちゃう。

後日、銭大人を黄はこっそり殺害してしまいます。



 

そんな事はおくびにも出さずに黄が本郷と酒を飲んでいると、店が銭大人の配下に囲まれているのに気付きます。

黄は何も告げずにこっそり店を抜け出します。


いくら黄が強くても多勢に無勢、危うい所を本郷が助けに来ます。



 

怪我を負った黄を本郷は自分の部屋へ連れて帰ります。

内心、こいつをぶん殴ったなんて冷や汗物だぜ、とか思いながら。





そんな本郷に影村月心の陰謀が刻々と近づいていました。

殺人の濡れ衣を着せられた本郷は租界から逃げ中国人街の苦力(クーリー)たちの間に身を潜めます。

苦力は港の荷送をする中国人労働者です。

 
 

ところがそこで潜伏していた本郷は怪しい男にナイフを突き付けられます。



一方、本郷を助けようとする黄は鬼怒川中尉に会いに行きます。

すると、そこへ上官の小此木大佐が現れ黄は動揺します。

二人は顔見知りだったのです。


そして、小此木大佐が黄に話した事とは・・・


 



───それらの謎はこの揚子江上流にある



なんか上海が大変な事になってるらしい。