海街diary
(既刊8巻)
吉田秋生
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

鎌倉に住む三姉妹のもとに、幼い頃女を作って出て行った父の訃報が届きます。

 
 
 
 
 
 
長女のと違って15年も会っていない父の死になんの感慨もわかない次女佳乃と三女千佳
 
 
 
 
 
 
一緒にいた女とは死別しその人との間にできた娘を連れ現在の奥さんと再婚した父はガンで波乱の生涯を閉じたのでした(複雑なのです)
 
 
山形県に葬儀に向かった姉妹は腹違いの妹である中学生のすずと対面します。
 
 
 
 
 
 
葬儀の後、は自分たちと鎌倉で一緒に暮らさないかと誘いすずはその場でOKします。
 
 
 
 
 
 
 
そんなわけで鎌倉の地で四姉妹の新たな共同生活が始まる事となるのです。
 
 
 
 
あらすじざっくりすぎ( ̄□ ̄;)!!
 
 
 
 
 
 
 
海街diaryは吉田秋生が2006年から『月刊フラワーズ』で不定期に連載している作品です。
 
 
2015年には実写映画化もされています(ゴメン!見てない)ので内容をご存知の方も多いかと思います。
 
 
 
 
 
鎌倉を舞台に三姉妹と一緒に暮らす事になった異母妹の物語がオムニバス形式で綴られています。
 
 
 
 
 
外に女を作って出て行った父親。
 
ショックのあまり死ぬのなんのと大騒ぎした挙げ句に新しい恋人を作り子供を捨てて出て行った母親。
 
 
なんとも無責任な両親を持ち祖母に育てられたという三姉妹ですが複雑な生い立ちを感じさせない明るく堅実に生きる女性たちです。
 
 
 
看護師をしている真面目でしっかり者の長女
 
 
 
 
 
 
信用金庫に勤める酒好きで奔放な次女
佳乃
 
 
 
 
 
 
スポーツ用品店の店員でちょっと変わり者の三女
千佳
 
 
 
 
 
 
自分の人生をイキイキと生きる彼女達のもとへ中学生のすずはやって来ました。
 
 
父の葬儀の時は自分の感情をしまい込み涙も見せず健気に振る舞っていたすずですが、地元のサッカーチームへ入団しすぐに友達もできました。
 
 
 
 
 
病気で足を切断し義足となってしまったチームメイトの少年へ淡い恋心を抱いたり鎌倉での新しい生活にも馴染んでいきます。
 
 
 
佳乃のわけありの元カレに興味を抱いたり、の不倫が発覚したり、父の一周忌で再び訪れた山形では父の妻だった女性がすでに恋人を作っていて法事を欠席するという事態に・・・
 
 
すずの成長を中心に鎌倉という土地の雰囲気や家族の情景や人とのつながりが描かれています。
 
 
 
 
 
 
 
 
一方、この作品は四姉妹が絆を深めながらそれぞれの生活や仕事や恋が描かれる中「人の死」という物がテーマになっています。
 
 
は新設された緩和ケア病棟の主任となり、海猫食堂のおばさんを看とります。
 
 
佳乃が恋する坂下課長は昔担当していた顧客の自殺に自責の念を持っていました。
 
 
 
「生きる事の先に死があるんじゃなくて死はいつも影みたいにそばにいる」
 
 
 
人はいつか死ぬと言う事は誰でもわかっていますが普段そんな事を考えはしません。
 
 
でもある日家族や大切な人が死ぬと、死は突然身近な物になり人は必ず死ぬんだと思い知らされるんですよね。
 
 
そして人の死にはお金の話が付きまとうのが現実です。
 
 
三姉妹が父の葬儀に出席し、再婚相手側からいきなり相続放棄を持ち掛けられ苦笑するエピソードなどは死とお金は切っても切れないものだと教えてくれます。
 
 
 
 
海街diaryは鎌倉を舞台に男女6人の交錯する思いを描いた1995年の作品『ラヴァーズ・キス』と世界観を共有しています。
 
 
 
 
 
吉田秋生は70年代から活動されてますが昔の作品は大友克洋に似た画風でしたが絵が大分変わってて驚きました。
 
 
 
淡々とした展開ながらベテランならではの上手さが光ります。
 
 
 
いい話だとは思います・・・
 
 
 
でも人間関係がちょっとうまくいきすぎな気がします。
 
 
 
人の心ってもっと葛藤があるはずです。
 
 
 
いい話にまとめようとしすぎて人物の心理描写が
浅くなってしまってるように思います。
 
 
 
独善的で説教くさいのも気になりました。