ゴジラ2000 MILLENIUMについて | 北条明の世界

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ゴジラ2000 ミレニアム

「ゴジラ2000 MILLENIUM」は、1999年に公開された、ゴジラシリーズの第23作(アメリカ版除く)であり、ミレニアムシリーズの第1作である。

公開時、映画館で見た。

年末に、2014年8月に、テレビ東京「午後のロードショー」で放送されたのを見た。

エンディングは放送されず、CMの時間から推測すると、ノーカット放送ではないと思われる。

今回のブログは、この放送を基に記載する。

 

なお、タイトルは、プログラム(上記写真)やほとんどの各種媒体では、「ゴジラ2000 ミレニアム」となっているが、映画でのタイトルは、「ゴジラ2000 MILLENIUM」である。

 

1998年公開のハリウッド版ゴジラが、所謂ゴジラ映画ではなく、全般的に不評であったため、モスラシリーズを終了し、ゴジラが復活した。

特殊技術(特技監督)は、川北紘一氏から鈴木健二氏に変更されているものの、監督、脚本は、VSシリーズの経験者を採用している。

 

設定は、リセットされている。

初代ゴジラの出現はあるが、その後の昭和のシリーズやVSシリーズはなかった世界観である。

個人的には、「VSデストロイア」のラストで、ゴジラになったジュニアが登場するのかと思っていたので、それは残念だった。

あのジュニアがどうなったのか、それはそれで知りたい気がする。

 

ゴジラは、身長が小さくなり、55メートルになっている。

背びれが大きくなったのが、特徴である。

放射能熱線は、すべて、オレンジ色になっている。

ゴジラの生命力の秘密として、オルガナイザーG1という新しい概念が出てくるが、厳密には違うんだろうけど、ほとんど、以前のG細胞と同義っぽい。

 

タイトルには、「対」とか「VS」とかはついていないけれど、この映画には、敵怪獣が出てくる。

6000万年前に落下したUFOから出現した宇宙人ミレニアンである。

ミレニアンは、オルガナイザーG1を吸収して、肉体を取り戻したものの、オルガナイザーG1を制御できず、崩壊し、オルガになる。

ミレニアンは、タコ型火星人って風貌で、デザイン的にはなんかいまいちで、しかもCG丸出しって感じである。

 

オルガは、なんとなくイメージがガメラっぽい。

左肩からUFO同様の黄色い光線を発射し、UFOと連携して攻撃してくる。

UFOを撃墜されるが、ゴジラにかみつき、オルガナイザーG1を吸収し、「ゴジラになろうと」する。

ゴジラの熱線攻撃で倒されたかに見えたが、口がものすごくでかくなり、ゴジラを飲み込もうとする。

ゴジラを飲み込もうとするのは、ビオランテを想起させた。

そして、ゴジラ化が進み、背びれも生えてくる。

しかし、ゴジラの体内放射で爆発する。

ウルトラダイナマイトのような倒され方であった。

オルガは、ゴジラ細胞によって進化するというのが、ビオランテやスペースゴジラっぽいし、デザインは、ハリウッド版ゴジラをモチーフにしたということらしいが、あんまりかっこよさを感じない。

設定には合っているイメージなのかもしれないが、かっこよさや強さを感じるデザインではないように思う。

 

ストーリーは、冒頭、灯台の職員が窓を外を見ると、ゴジラの顔が超巨大に映っているシーンと、居酒屋を破壊するシーンはすごく迫力があって、滑り出しは上々であった。

その後、篠田の車が襲われ、ゴジラの咆哮で、車のフロントガラスが割れる。

最初から、ゴジラが出ずっぱりで、根室を破壊するところまでは、ゴジラの脅威がよく描かれていた。

主人公の篠田が設立したゴジラ予知ネット(GPN)も、面白い設定だと思う。

その後、ゴジラは、自衛隊と交戦する。

自衛隊の武器は、貫通を目的としたフルメタルミサイルである。

これが、どれくらいゴジラに効果があるのかはわからないが、命中すると、けっこう痛そうである。

 

その後、日本海溝で発見された岩塊が飛行し、ゴジラと戦う。

黄色い光線で、ゴジラを海に吹き飛ばす。

岩礁は、UFOになり、新宿のビルの上に着陸する。

ブラスト・ボムで破壊しようとするが、破壊できず、UFOは、コンピューターに侵入し、大気組成を変え始めた。

そして、ミレニアン→オルガとゴジラとの対決になる。

 

最初は、復活したシリーズ1作目のパターンで、ゴジラ対人類なのかと思っていたが、宇宙からの敵が登場する。

そのために、ゴジラよりも、UFOに焦点が当たってしまい、結果、ゴジラもUFOも中途半端になってしまったと思う。

この世界のゴジラは何なのかが、結局、描かれずに終わっている。

ストーリー自体も、起伏が乏しく、最初がいい感じだっただけに残念だった。

公開時に、すごく退屈な感じを受けた。

今回は、公開時に見た時よりは、面白いなって感じたけれど。

 

特撮的には、UFOなどをCGで表現しているが、そこに存在している感がない。

ゴジラが上陸する際の合成も、いまひとつだった。

 

音楽は、ゴジラのテーマは使用しているが、担当は、服部隆之氏である。

けっこうよかったと思う。

 

登場人物は、篠田もイオも由紀も、描きこまれていないために、感情移入がしにくい。

片桐は、あえて変わった人物にしている感があるし、宮坂も、佐野史郎氏がせっかく演じているのに、魅力的な人物になりえていない。

 

オルガが倒された後、片桐は、逃げずに、「ゴジラー」と叫び、ゴジラがビルを壊し、それに巻き込まれて死ぬ。

そして、ゴジラは他の人間には背を向け、去っていく。

個人的に、ゴジラは、そんな人間一人一人を気にするなんてことはないと思っている。

だから、東宝チャンピオンまつり時代のゴジラじゃあるまいし、片桐だけを攻撃して、他の人には手を出さないなんて、不自然だと思う。

 

最後、「科学の暴走が生んだゴジラ。お前はなぜ現れるんだ」(宮坂)、「人間が生み出してしまった怪獣」(由紀)、「ゴジラは俺たちの中にいるんだ」(篠田)というシーンがあるが、なんだかとってつけたようなことを言っているって感じで、このシーンもいらないと思う。

 

ゴジラが、新宿の街を焼き尽くして、ラストシーン。

結局、ゴジラがどうなったのかわからないが、これはこれでいいと思う。

 

ミレニアムシリーズとして、ゴジラ映画は、翌年以降も制作された。

次作の「×メガギラス」は、設定を一新し、今回のゴジラがどうなったのかは描かれていない。

その後も、ミレニアムシリーズは、VSシリーズと異なり、機竜二部作を除き、基本的に、前作の設定を踏襲しないで制作された。

自分は、「ゴジラ2000」に、期待していたほどの面白さを感じられず、ちょうど子育ての時期と重なったこともあって、それ以降のミレニアムシリーズは、映画館に見に行かなかった(テレビ放送では見ている)。

4年間のブランクが人気を低下したと言われているが、ミレニアムシリーズは、VSシリーズほど観客を動員できず、2004年に終了し、2016年まで、ゴジラ映画が作られることはなかった。

 

「ゴジラ2000 MILLENIUM」は、日本のゴジラ映画の力を見せてやろうという力が入り過ぎていたと思う。

そして、実際には、そこまでの力がなかったんだと思う。

ただ、この映画がもっと面白ければ、その後のミレニアムシリーズも違っていたかもしれないと感じる。

今回、久しぶりに見て、公開時より面白いと感じたし、ゴジラ映画の一本に間違いはないけれど、その後のミレニアムシリーズのことを思うと、やっぱり悲しい存在の作品である。