1日500mlの“生きた水”で巡らせる【第1回】
体の約60%を占める水。脳や筋肉にも多くの水が含まれ、水は生命維持や健康と切っても切れない関係にある。「血液やリンパ液のほとんども、本をたどれば水。体の巡りのために水は不可欠の存在」と語るのは、広田内科クリニックの廣田彰男院長。だからこそ、どうせ飲むなら体にいい水を飲みたい。
では、体にいい水とは? 水に詳しい人間総合科学大学の藤田紘一郎教授は「できるだけ加熱されていない、生きた水」と説明する。
その理由は、水を沸かすと、その過程で溶け込んでいるミネラル分が減ってしまうから。「自然の水ならカルシウムやマグネシウムなどのミネラルをそのまま取り入れられるので、細胞や血液への行き来もスムーズだと考えられる」と藤田教授。このため、細胞の生まれ変わり=新陳代謝が進み、脂肪燃焼にかかわる酵素反応もうまくいく。
そして、今の季節に欠かせないのが、体の解毒力をサポートするお茶。春、初夏にかけては「気候や環境の変化が大きく、心身に不調が起きやすい」と桑楡堂薬局(そうゆどうやっきょく)の中医師、邱紅梅(きゅうこうばい)さん。お茶を飲んで、冬にためこんだ脂肪や、春になりがちなうつうつとした気分をスッキリ流そう。
体の巡り力を高める水と、心と体の解毒を促すお茶を上手に取り入れれば、代謝が上がる!
基本の水の飲み方は「1日に1.5~2.0 Lが目安。一度に飲むのではなく、こまめにちびちびと飲んで」と藤田教授はアドバイスする。これから暑くなるが、キンキンに冷えた水ではなく、常温で飲むのがお薦めだ。
そして、特に飲んでもらいたいのが、加熱殺菌や塩素消毒をしていない「生きたナマの水」。なぜかというと、「加熱すると水のおいしさを決める酸素や炭酸ガスも抜けてしまい、味も変わる。水の構造が変化し、ミネラル分などの組成も変わる。体に必要な細菌も減り、生の水に比べて体内での菌の働きも鈍る」と藤田教授はいう。
そのため、「1日500ml以上は生きた水を飲む。それ以外の栄養分や老廃物を運ぶための1.0~1.5 Lは、普通の水で十分」と藤田さんはいう。買って飲むなら、海外のナチュラルミネラルウオーターなどがお薦めだ(詳しくは第2回)。
日経ヘルス 2009年6月号掲載記事を転載
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