女性ホルモンの特徴を知ろう
女性ホルモンは卵巣から分泌されるホルモンで、血液中を流れて子宮や乳房で働きますが、全身の臓器でも働いており健康維持に役立っていることが分かってきました。女性が男性よりも寿命が長いのも、女性ホルモンのおかげといわれています。
一方、女性ホルモンの分泌は月経周期によってとても大きく動くのが特徴なので、月経にまつわるさまざまな体調不良は現代女性の健康課題になっています。妊娠出産の機会が減った分、逆に月経回数や月経トラブルが飛躍的に増えているのです。
2人目のお子さんを産み、職場に復帰したM子さんは、月経前の気持ちの不安定さに悩まされるようになりました。家に帰って子供の世話をしていると涙が流れたり、夜中に目が覚めていろいろ考えて眠れなくなるなど、徐々につらい症状が出てきました。心療内科に相談しましたが、「睡眠薬を飲んで様子をみましょう。無理をしないように」と言われただけでした。
月経前症候群は月経前3~10日に現れ、月経が始まると消失する身体的・精神的症状のことをいいます。3カ月以上繰り返しているならば婦人科を受診し、投薬治療を受けてください。
最もよく使われているのは低用量ピルです。低用量ピルはホルモン量の少ないピルで、もともとは避妊のために発売されましたが、最近では月経痛や月経前症候群の治療薬として多く用いられています。また、加味逍遥散(かみしょうようさん)などの漢方や、安定剤(抗不安薬)、睡眠薬もよく処方されます。全てを一緒に使っても大丈夫です。ピルは排卵を抑制し、女性ホルモンの変動を小さくしてホルモン状態を安定させますし、漢方は心身の状態を全体的に良い方にもっていきます。
これらはずっと飲まなくてはいけないものではなく、からだの調子が良くなるまでの一時的な助けとして考えましょう。自分でできるヘルスケアを組み合わせると、より早く楽になります。M子さんも3~4カ月でだいぶ調子を取り戻しました。婦人科に気軽にご相談ください。(対馬ルリ子)
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「もっと元気に、もっときれいになりたい!」。こう願う女性のために、婦人科、皮膚科、心療内科、整形外科の4人の女性医師が女性特有の病気の悩みなどについて執筆します。
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【プロフィル】対馬ルリ子
つしま・るりこ ウィミンズ・ウェルネス銀座クリニック理事長。昭和33年生まれ。弘前大学医学部卒。専門は周産期学、ウィミンズヘルス。



