夜 眠れるようになっても朝も昼もうとうとしている。
朝ごはんを食べると汗が噴き出してきて
具合が悪くなる。夜9時ごろ寝ても朝5時ごろには目が覚める。夜中に何度も
目が覚める。熟睡できないでいる。 出血がとまったようだ。点滴も今日で終わるみたい。
1時間ぐらい眠っていたようだ。お掃除の人が来たのも便器の交換も知らなかった。憂さ晴らしが出来なくて頭の中が疲れている。昨夜は自分の寝言で目が覚めた。夢を見た
“私さん“には内緒で主人が次に一緒になる人と“私さん“が生んだ子供を
育てているシーンだった。
どうしてこんなことするの と聞くと
仕方がないだろう と2人で嘲り笑っていた。 4時に点滴が終わった。
二人の子供にはなかなか会えない。病院まで20分で来れるのに毎日なんて
来てくれるはずがない。もともと気に入らない妻だし嫁だし そんな“私さん“が切迫流産の危険があるため今後6ヶ月も入院することになるなんて思ってもいなかったに違いない。
窓の外が寒いのか、春なのか分からなくなってきた。修学旅行に行った時、手相を見てもらったことがあった。健康は良好だったのに、いつか大きな病気をすると・・・当たってしまった。
全てをダメにして入院 その上喜んで結婚したのに今・・・・喜んで入院している。
便が出ないで2,3日経つと苦しくなるけど、力んだら駄目だから下剤を入れてもらった。
昨夜はサスペンス劇場を最後まで聞いてしまった。
中学生のチョコレートゲームから起きた殺人事件だった。耳から伝わるシーンは格別だった。
堕ろす堕ろさないで騒いでから今日の回診で自分がどうしたいのかがはっきりと分かった。
「お子さんは順調ですよ」 「このままですね」「点滴は今日でやめましょう」
こうして生まれるまでの入院生活がスタートした。”私さん“は誰にも相談しなかった。
”私さん“は自分の子供が欲しかった。このことが許されないというのなら、ひとりで育てよう
と決める事が出来た。 次回富美子へ出せなかった手紙