ウォーキングと女の子

 

   第一章   出会い                  

   第二章   春                   

   第三章   梅雨                  

   第四章   夏                   

   第五章   秋                   

   第六章   冬                   

   第七章   初春                  

   第八章   別れと新たな出会い

 

(この物語はフィクションであり、実在する個人・組織等とは一切関係ありません)

 

 

「人生は出会いと別れの繰り返し」

   と古くから言われている・・・

 

  

 

  4

 

 翌日夕方のウォーキング中、浩治は、髪が少し伸びていることが気になった。

 

 昨年末、理髪店に行くのをうっかり忘れていたのだ。   

 

 美容室前を通り過ぎるとき窓越しに中を覗き見ると、ソファに座った滝沢亮が、暇そうに新聞を読みながら欠伸している。

 

 多くの女性は、年末までに美容室で髪の手入れなどを済ませているので、年明けには暇ができるのだろう。

 

 客がいなければ、男性のカットもやってくれる。浩治は、一度カットしてもらっていたので、またお願いすることにし、ドアを開けた。

 

 「亮君、少し伸びたのでカットして欲しいんだけど」 

 

 「中沢さん、お久しぶりですね。前回と同じ長さで良いですか」と確認しながら椅子に案内する。

 

 浩治が座ると、滝沢が、浩治の首から下をカッティングクロスで覆い、ハサミと櫛を取り出す。

 

 「同じでお願いします。ところでお正月はどこか出かけたの?」 

 

 「遠出はしてません。いつもどおりの正月でした」 

 

 「そうなの」

 

 「中沢さんは?」 

 

 「初詣に行ったくらいだね。二日からはウォーキングだよ」 

 

 「僕は、家族そろって八坂神社に初詣に行きました。コロナ禍も過ぎて、しばらく経ったからなのか人出が多かったですね」 

 

 「そうだったね。ところで、成人式の着付けやヘアセットは引き受けたの?」 

 

 「二人だけ引き受けました。彼女たちの注文は凄いですよ。もうド派手としか言いようがないですね」

 

 「そうだね。昔はああじゃなかったけど……僕が若かったころはね」

 

 「一生に一度のことですから……だけど、あの子たちは意外と礼儀正しいんですよ」 

 

 「そうですか」

 

 「です!」

 

 「僕も、成人式会場のメディアドームに、野次馬根性出して見に行ったけど、凄いね!全国的に有名になっているそうだね」 

 

 「そうなんです。北九州市といえば『ド派手成人式』というレッテルを貼られていますからね。だけど荒れる成人式ではなく、見た目以上に真面目な青年という評価も得てますので、あれはあれで良いんですかね」 

 

 世間話をしているうちに、カットが終わった。

 

 「終わりました。どうですか?」 

 

 「いや~、すっきりした!今回は、カットの間隔が長かったので……ありがとう」 

 

 浩治は、自分の姿を鏡で見てニッコリ笑う。

 

 「亮君、今度は早めに来るよ……」 

 

 久しぶりに髪をカットしてもらい、すっきりしたので気分も良くなったのか、浩治は小さく口笛を吹きながら美容室を後にした。

 

 

     (5へつづく)

 

       次は、9月1日投稿予定です。