中国規制当局が独占禁止法違反で電子商取引最大手・アリババ集団に、過去最高となる罰金182億元(約3050億円)を科した。同社を標的にした「アリババたたき」が一段と強まった形である。中国のような国ではアリババが政権の主流派の金づるであったり、政権の経済政策に合致するような場合には、その存続はゆるぎない。逆に今回のように、アリババのジャク・マー氏が公然と政権の経済政策を批判すると、たちどころに、「アリババたたき」が始まり、支配を強めようとする。これが国営企業なら、即座に幹部の首の切り替えを行うのだが、ほとんどの場合、経営陣の交代は企業経営で、うまくいかない。幹部の顔が企業やその労働者、経営スタイルに向かずに、政権側の意向だけを考えるようになるからである。彼らにとって、企業の失敗はないのである。へまをしても、国からの援助が受けられるくらいにしか考えていない。企業は彼らの食い物になるのである。アリババの場合には民間企業なので、今のところ金銭的な懲らしめ程度になっているが、政権としては国内政治を取り仕切る武器として、アリババをもっと使いたいはずである。(くちなし亭、2021.04.12)

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