「ショートショート」真夜中の双子 | レムリアン・アキラ・ Lemurian Akira

レムリアン・アキラ・ Lemurian Akira

レムリアの愛に満ちた世界
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レムリアン・アキラは歩く癒し人
神戸北野在住

「ピ~、ピピピ」
真夜中の2時に不思議な音が聞こえてきた。
今日の昼、双子の大学生が隣の部屋に引っ越してきた。
頭の先から靴下の柄まで、まったく瓜二つの双子だった。
「きょうから隣に越してきた冬美と夏美です」
挨拶する仕草もお辞儀の角度も全て同じ。
着ている服もスカートもメイクも同じ。
K氏は二人を同時に好きになってしまった。
次の日の真夜中にも不思議な音で目が覚めた。
壁の向こうでは、何が起きているのだろう。
次の朝、双子の一人がプラゴミを捨てていた。
「おはようございます、冬美さん」
「わたしは夏美なの」
「夏美さん、今日は家庭ゴミの日ですよ」
「教えてくれてありがとう」
少し家庭的な笑顔が素敵だった。
「よろしかったら紅茶を飲みに来ませんか?」
「あ、あの、僕、男性ですけど、いいんですか?」
「大丈夫ですよ、私はロボットですから気にしません」
「えっ?」
「冬美も私と同じロボットなの」
ロボットと聞いて、一目惚れの気持ちが消えてしまった。

「冬美、隣の地球人にはロボットだと話しておいたわ」
「これで、月の裏にいる母船との通信音を聞かれても大丈夫ね。」
(文:明)