魔王様は90歳! | 台本、雑記置場

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魔王様は90歳!

 

登場人物

 

・魔王シャーガレータ(♂)
(しわがれた、を中二っぽくしただけ)

 

四天王
・女王様、セリーナ(♀)
・おっとりドジヤンデレ、アプリコット(♀)
・脳みそ筋肉、ゼルモール(ゼル:♂)
・軍師的知力担当 レザード(♂)
・五人目の四天王、中二病 クライン(♂)

脳ミソ筋肉と中二病は性別不問でもOKです。
ゼルはとくに俺っ子でもいけるかな、と。

 

2:2:2 または 4:2

 

~劇中表記~
魔王:♂:
セリーナ:♀:
アプリコット:♀:
ゼル:♂:
レザード:♂:
クライン:♂:

(1、2…などの章分けは特に気にしないでくださいませ)


・・・・・・・・・・・・・・・

1、魔王登場

 

SE:カンカンカンカン……と階段を下り地下へ、間

 

四天王:ジーク=シャーガレータ!ジーク=シャーガレータ!
    ジーク=シャーガレータ!ジーク=シャーガレータ!

 
SE:コツ、コツ、コツ……とブーツと杖の音が近づき、
  ギィ…と扉がひらく音。

 

四天王:ジークハイル=シャーガレータ!

SE:カツ、カツ……とゆっくり魔王が玉座のそばへ、とそのとき

魔王:へ、へ……え゛ぐじゅ!
アプリコット:魔王様ぁ!
セリーナ:魔王様がくしゃみをっ!?
レザード:いかん、入れ歯が飛んだぞ!
ゼル:腰も痛そうだぜ!
魔王:ひょふん、しゅーしゃは、ひははのー?(諸君、勇者は、きたかのう?)
セリーナ:何言ってんのかぜんっぜんわかんない…。
アプリコット:セリーナさ~ん、そこの入れ歯とってくださいぃ…
セリーナ:いやよ、汚い。
ゼル:俺がとってやるぜ、じーちゃん! よいしょ…口開けて~ ほい!
魔王:ふがっ。んん!
レザード:落ちた入れ歯をそのまま魔王さまの口に戻すなー!

SE:大きな椅子に腰かける音

アプリコット:あ、魔王様が~、玉座に座りましたよ~?
レザード:よし、全員、敬礼!

SE:バッ!と敬礼イメージの音。紙を取りだす音

魔王:えっと、え~、あの、うん……我々魔王軍は、日々勇者を倒すため~…
  この秘密基地のなかで~……
セリーナ:なにあれ、カンペ?
ゼル:ここに来るまでに書いてきたのかな?
アプリコット:もう、アドリブでは喋れないんですかね~?
レザード:まあ、御年90歳だからな……。
魔王:日々、訓練を~……で、今勇者はどこかのう?アプリコットさんや。
アプリコット:えっとぉ、この前会議で勇者認定した子は、今バイト中ですね~。
魔王:ほっほっほ、働き者じゃのー!
セリーナ:はぁ……勇者、今何代目だっけ?
レザード:この間、四代目になったところだ。
アプリコット:わかい~、男の子です~。それに引き換え、魔王様は~…
ゼル:魔王様だけ未だに代替わりしてないもんな!そりゃあじーちゃんだよ!
  ははは!
魔王:はて、ところで勇者の名前はなんじゃったかのう……?
アプリコット:魔王様~、それはこの間紙に書いたでしょ~?
魔王:最近目もかすんできてのぅ……。ん?お主らは、誰じゃ?
レザード:……勇者よ、早く来てくれ!(涙

 

・・・

・アイキャッチ的効果音・
ゼル「魔王様は、90歳!」

・・・

 

2.四天王の五人目

 

ゼル:なぁなぁ、とりあえず俺たちもいつもの奴やろうぜ!
セリーナ:いいわねぇ、やっちゃう?
レザード:別に毎回やらんでもいいんだが……
アプリコット:ではまず~、私から~
レザード:はぁ~……結局やるのか…。

ゼル:よーし、いくぞ!我らシャーガレータ四天王、とう!

アプリコット:シャーガレータ四天王随一、おっとりふんわり愛されガール~
  アプリコットですぅ~。
セリーナ:お~っほっほっほっほ! シャーガレータ四天王、最も美しく気高い
  死の女神…セリーナよ!
ゼル:シャーガレータ四天王っ!腕力最強!うおお、俺が一番つええ!ゼルモール!
レザード:(はぁ…)レザードだ。
セリーナ:レザード、ノリわる~い。
ゼル:もっとついてこいよぉ!
レザード:お前らなぁ、何回仲間うちで名乗りあげを……
クライン:ふっはははは…!四天王は自分たちの名も満足に名乗れぬようだなぁ!
アプリコット:あ、あなたは~…
魔王:おまえさんは~…
セリーナ、ゼル:誰だっけ?
クライン:おおい!誰だっけ、じゃねーよ!四天王の隠された五人目の刺客、
  その邪悪さと危険さは魔王すら安心して眠ることさえ出来ぬと恐れられた、
  封印されし罪深き闇の……
魔王:ぐぅ……すぅ……ぐぅ……
クライン:寝るなよ!…もういい、とにかく会議だ会議!会議しよーぜ。
アプリコット:会議は、いいのだけれど~……
ゼル:お前の席ねーから!あっはははは…!
クライン:なんでだよ!まだ買ってないのかよ!?
レザード:仕方ないだろう、お前は四天王の椅子が一個あいたときに出てくる
  予定だったのだから…。
アプリコットそれが~、椅子があくどころか、勇者様はもう70年もいらっしゃい
  ませんから~。
クライン:四天王の椅子って比喩だろそれ! 椅子の一個ぐらい買えよ!
セリーナ:きゃは、あんたが椅子になればいいじゃない!(SE:ムチの音)
クライン:お断りだぁぁ!また空気椅子かよちくしょー!!
魔王:はて…あいつ誰じゃったかの~…

 

・・・

・アイキャッチ的効果音・
アプリコット「魔王様は~、90歳~!」

・・・

 

3、皆の夢を語ろう

 

 

レザード:さて…本日の会議のテーマは……魔王様、なんですかこれは。
SE:紙をぺしっと叩く
魔王:ふぉ?だから、それがテーマじゃよ、テーマ。
アプリコット:ええっとぉ…『第3640回、魔王軍会議テーマ、夢』…夢ですか~?
魔王:そうじゃ、皆がのう、思い描く夢じゃ……
ゼル:じーちゃんしつもーん!なんでそんなこと話し合うのー!?
魔王:夢というのはのう、いいもんじゃあ…若い皆には、夢を抱いて欲しいんじゃ…
クライン:…若い……
セリーナ:何こっち見てんのよ五人目!?
クライン:魔王様は代替わりがなく、レザードと俺が三代目、アプリコットと
  ゼルは四代目……お前は確か……
SE:ムチばちーん
セリーナ:それ以上言ってごらんなさい!しばきたおすわよ!?
レザード:もうしばいてるぞ、二代目セリーナ。
セリーナ:さらっと失礼なこといってんじゃないわよ!うちのばーちゃんが
  頑張り過ぎただけですー!
ゼル:ああ…初代セリーナばあちゃん、すごっかたなぁ…。
アプリコット:あれは~、お色気担当というより~、しかばね担当ですわ~。
セリーナ:なにそれひどい。
魔王:夢のあふれる会議じゃの~ ほっほっほ。
クライン:どのへんがでしょうねぇ……。
レザード:…とにかく。魔王様が決めたテーマについて進めていくぞ。ゼル!
ゼル:おーう!
レザード:お前の夢はなんだ?
ゼル:俺は誰よりも強くなるぜー!いえーい!
クライン:ふん、弱い犬ほどよく吠える…。こんな奴が四天王とは笑えるものだ。
  そもそも四天王というものは選ばれし…
レザード:黙れ五人目。次、アプリコット。
クライン:最後まで言わせてよ!
アプリコット:わたしの~ゆめは~……
クライン:あ、ほんとに言わせてくれない流れ…
アプリコット:大好きな彼氏さんと~、すうっと一緒にいることです~。うふふ~
セリーナ:はあ、あんたらしいというかなんというか……
アプリコット:最近は~、彼氏さんがあんまり会ってくれないので~、今度~、
  私のおうちに来た時に~、監禁して~、それから、ずうっと一緒に、幸せに
  暮らすのです~。
魔王:夢いっぱいじゃの~。
レザード:勇者の前に警察に踏み込まれるのはごめんだぞ、アプリコット。
アプリコット:えへへ~。
レザード:次は…私でいいか。私の夢は魔王様がご健康であるうちに、勇者に
  討伐されることだ。これこそ!魔王軍の本懐であろう。
魔王:良い事言うのう、ところで、お前さんは、だれじゃったかの~?
レザード:夢は、夢のまま終わりそうだが…。次、クラインはとばして…
クライン:おおい!
レザード:セリーナ。お前の夢はなんだ?
セリーナ:はっ、夢なんてもう捨てたわよ。
アプリコット:セリーナちゃん~、ここは気取るところじゃなくって~
  お話あいするところよ~。
セリーナ:べつに気取ってるわけじゃないわよ!ああもう、ほんとに今は夢なんて
  ないの!それでいいじゃない!
ゼル:今は?前はなんかあったのかー?
セリーナ:前は、その……
クライン:なんだモジモジすんな気持ち悪…うぼぉあ!?(ムチたたかれ)
セリーナ:前は、その…お嫁さんに、なること。
アプリコット:えええっ、すてきじゃな~い!それとってもいい~!
魔王:素晴らしいの~。
クライン:思ったより、普通の夢だが…いくら年増とはいえ、まだ捨てる夢では
  ないだろうおまっ(ムチ
ゼル:そうだぜー!セリーナ美人だからそんなのよゆーよゆー!
レザード:……もうよせ。セリーナはな……
セリーナ:ええ余裕よ!超余裕だったわよ!あっという間に結婚したわよ!
  でもねぇ!まさかねぇ……!夢が四回もかなうとは思わなかったわよー!
レザード:…セリーナは、バツヨンなんだ。
アプリコット:…四天王の、かがみね~。
セリーナ:へんなフォローしないでー!

 

・・・

・アイキャッチ的効果音・
セリーナ「魔王様は、90歳!」

・・・

 

4、魔王様のご飯事情

 

魔王:ふうむ……会議も大成功じゃな。
セリーナ:私の明るい家庭計画は大失敗ですけどね……ううっ。
クライン:……泣くなよ。
レザード:先が思いやられますね。
魔王:ところで…アプリコットさんや、飯はまだかのう?
アプリコット:やぁねぇ魔王様、一週間前に食べたばかりでしょ?
魔王:おお、そうじゃったそうじゃった。
アプリコット:うふふ~、もう!
魔王:ふぉっふぉっふぉ、うっかり。
レザード:……いや毎日食わせろよ!
アプリコット:ないすつっこみ~。うふふ。
クライン:うふふ、じゃねーよ!おい、何か食い物ないか、魔王様に食事を!
セリーナ:そんな事言ったって、ここは秘密基地なんだから何にもないわよ。
レザード:だから私は災害に備えて基地にも非常食をだなぁ……
アプリコット:レザードさん~。過去のことより~、今起きている問題について、
  お話しましょ~?
レザード:お前が言うなー!
ゼル:おっしゃあ!俺に任せとけ!
レザード:おお、ゼル。頼りになるやつだ。おかしでも持っているのか?
ゼル:俺がいまからピザ屋にデリバリー注文してやるよ!もしも~し、
  注文いいですかー?出前で、はい、住所は~
レザード:秘密基地の住所をピザ屋にバラすなー!!

 

・・・

・アイキャッチ的効果音・
レザード「魔王様は、90歳!」

・・・

 

5、シャーガレータ四天王!ドキドキ★耳かきボイス

 

ゼル:シャーガレータ四天王!
アプリコット:どきどき~
セリーナ:耳かきボイスー!
レザード:……ほんとにやるの、これ?
ゼル:あったりまえだろー!レザード!
アプリコット:こういうの~、流行っているらしいので~。魔王軍も、イメージ
  アップ作戦をするのです~。
セリーナ:耳をかくなんて、久しぶりねぇ。
クライン:前にかいたのは何番目の旦那……うぼぉ!?(ムチ)
セリーナ:だまんな、空気椅子野郎!! よぅし、私からいくよ!

 

BGM:優しい音楽にチェンジ
SE:ドアがガラッと開き、ヒールの足音が近づいてくる

 

セリーナ:うふふ、どうしたの?そんなに緊張して? いいのよ、リラックスして、
  お姉さんにぜーんぶ、任せてくれたらいいんだから。ね?ほらぁ、こっちに
  来て。膝枕してあげるから。頭をのせて? え、こわい? もうっ、
  ひどいなぁ。そんなことないわよ。ほらぁ、早くぅ…は・や・く!
  ……早く来いっつってんだろーがぁ!? ああっ!口で言ってもわからない
  のならぁ……こうよ!(ムチ打ち数回)
   お~っほっほっほっほ! ほらほら、ムチの味はどう!ほうら、はああ!
  いいわぁ、その悲鳴が最高に気持ちいい、耳かきってステキぃ!
  さあ、跪いてヒールをお舐め~!お~っほっほっほっほ!
  (最後の笑いでフェードアウト)


レザード:…耳かきとは?
ゼル:おっしゃあ!つぎは俺だぁ!いっくぞー!

 

BGM:元気っ子
SE:ドアが開き、ゼルが駆けてくる

 

ゼル:なぁなぁみてこれ!耳かきするやつ買ってきたんだぜ!これで俺がお前の
  耳をかいてやるよ!…あれぇ、なんか不安そうな顔してるけど…。
  あー、お前まさか、俺が力しか取り柄がないやつだと思ってないだろうな?
  こう見えても手先は器用なんだぜ。例えば……あれとか、これとか、それ?
   うん、こないだもリンゴの皮むこうとして握りつぶしちゃってさー!
  あっはっは!まあいいや、ほらほら、いくぞー右の耳から~、てい!
  (何かが刺さる音、鼓膜ブレイク)
  おおー、これが耳かきかー。おっもしれーなー!よし、次はもういっこの
  ほうやろうぜー!いっくぞぉぉぉぉ……! 
  (ひゅん、と何かを振りおろす音で終わり)

 

レザード:…耳を壊せと言った覚えはない。
アプリコット:ここは~、私のドキドキ耳かきで~、人気をとるのです~!

 

BGM:優しく甘い感じ
SE:ガチャ、とカギが開き、パタパタと足音が

 

アプリコット:えへへ~、こんにちは。今日はぁ、あなたのお耳を~、
  アプリコットがきれいきれいしてあげますね~。とぉっても、気持ちよく
  してあげますから、緊張しないでくださいね~。はい、ふとももの上に
  頭を置いてください。はぁぁ~、嬉しいです~、大好きな人の耳をかくって、
  私、とっても幸せです~。……このまま、この時間がずっと続けばいいのに。
  あなたをここに閉じ込めちゃえば、ずうっと、耳かき出来ますね?
  そしたら、私もあなたも、ずうっ…と幸せ……素敵ですねぇ……。
  (ガチャン、ガチャン、と金属が閉まる音)
  ああ、暴れちゃダメですよ、これから耳をかくのです~。もしも、鼓膜が
  破れたら、音が聞こえなくなってしまいますぅ~。ああ、でもでも……
  今あなたの耳か聞こえなくなったらぁ…最後に聞いた私の声が、ずうっと
  あなたの中に残って……それって、すっごい結びつき!
   アプリコットってば悪い子だから、そういうの、憧れちゃう~……。
  ねぇ、いいですよね、そういうの……
  (耳に何か入ってくる音で終わり)

 

 

レザード:…頼むから、秘密基地に勇者の前に事件が起きるようなことは
  しないでくれ。
アプリコット:あれれ~、てへ! ほら、最後はレザードさんの番ですよ。
レザード:はぁ…私もやるのかこれ。ええい、しかたない……

 

BGM変更、すたすたと無骨に歩いてくるレザード

 

レザード:今日は、貴様の耳をかくことになった。まったく、訳が分からない。
  だがこれも愛する魔王様の命令。私は全力をもって耳かきというものを知り、
  全力をもってその喜びをお前に与えよう。
   そもそも耳かきとは歴史が古い。人類みな耳がかゆかったわけだな。
  しかし行為が行為なだけに、あまり文献には残っていない。日本で明確に
  耳をかく行動や、その道具が文献や落語に残されているのは江戸時代に
  なる。逆に言えば、江戸時代にはすでに金銭のやりとりと耳をかく行動が
  繋がっていたわけだ。非常に興味深い。
   次に、耳をかく際の道具について説明しよう。耳かきの種類は豊富に
  存在し……(次に、あたりからフェードアウト)

 

 

レザード:…なぜカット!?
セリーナ:長い。
ゼル:長い。
アプリコット:長いですぅ。
クライン:ふっふっふ、四天王レザード、おそるるにたらず! ここは影の四天王、
  このクラインさまの罪深き快楽と倒錯の耳かきタイムでリスナーを骨抜きに
  してやろう! さあ、俺様の美技を骨の髄まで味わうがよい、
   秘技……アルティメットォォォ……
レザード:魔王様は90歳、本日の放送は、ここまでだ。
ゼル:また来週も聴いてくれよな!
セリーナ:少しの間 良い子に待っててね、皆。まったね~。
アプリコット:またお会いしましょう~。最後に、皆の耳かきをもう一回
  お届けします~★
クライン:ほんとに終わりかよ!魔王さまぁぁぁ……
魔王:…うん? おぬし、だれじゃったかの~?
クライン:あんまりだぁぁ……!

(フェードアウト)

 

 

・終わり・