数字と気持ちと二人の日々と
・登場人物
日比野 和(ヒビノ カズ):♂
理系脳?な慧の彼氏。すぐに脳内で数字計算や計画をはじめる癖がある。
川上 慧(カワカミ ミドリ):♀
のんびりした文系女子。思い付いた事をすぐ口にするところがある。
~劇中表記~
カズ:♂:
ミド:♀:
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
ミド:でさぁ、アケミちゃんたら、早く彼氏と結婚したい~!っていっつもいっててさ。
結婚てそんな良いものなのかなぁ?
カズ:そーだなぁ…。どちらかが専業で家庭に入るなら、もう一人は仕事に専念出来るという
メリットがあるよな。
ミド:ほぇ?あー、まぁねぇ。でも、そこまで考えて言ってるかなぁ…。なんていうか、気持ちが
溢れそうで言っちゃってる~、みたいな感じでさ。
カズ:んで、もし共働きなら、収入が上がるし、1世帯に稼ぎ手が二人になるというメリット
があるわけだな。デメリットとしては…。
ミド:カズくーん!
カズ:お互いのプライバシーとか…ん!?
ミド:はい、ストップストップ。んもう、だから~、アケミちゃんはそういう気持ちで言葉が
でちゃってるんだよ~、きっと。メリットとか、デメリットじゃないの。き・も・ち。
カズ:あー、うん。そっか。いやでもなぁ。彼氏がそれを真剣に受け止めたら、色々考えちゃう
んじゃないかなぁ?
ミド:んー、まぁそれはあるかもね。でも、あのカップルは二人ともラヴラヴだからw
心配いらないんじゃないかな~。
カズ:二人とも気持ちが優先しているのか。まずいぞ、無計画な結婚は空港で終わりを迎える
可能性が高くなり…
ミド:はいはい(苦笑) …あ、ほら!パスタきたよ~。うわぁ、おいしそ~!ね?冷めない
うちに食べよう。
カズ:そうだな。せっかく美味しいと評判の店にきたのだから、出来たてを食べるのが一番得だ。
ミド:ふふ、またカズくんは損得なんだから。そういうの以外にも、あると思うんだけどな、
いろいろと。
カズ:けど、損したくはないだろ。得したほうが、お互い気分もいいって。
ミド:まあね。それじゃ、いっただっきま~す! うわぁ、おいし!
カズ:いただきます、と。うん、これは美味しい。この味付けは胡椒とコンソメと…
ミド:素直に味わおうよ~。疲れちゃうよ?
カズ:あ、ああ。
ミド:あ、そうそうそれでね。食べながらでいいんだけど、さっきのアケミちゃんの話ね。
子どもは50人欲しいっ!だなんて言いだしちゃってさ~。あたし、それはいきすぎー!って
ふたりで笑っちゃったんだ~。
カズ:っ!!(こ、子どもが50人…!まず俗に世間では子どもは10月10日という…。これを50回
繰り返すと考えると500月と500日…。500月は500割ることの12で41.66666…=41.7として
41年と7か月…)
ミド:あれ?カズくんどうしたの~?パスタ進んでないよ~?フォークくわえたまま難しい
顔して、なに考えてるの~?
カズ:(500日は365引いて1年と135日…。135割る30で4.5月。さっきの7か月と足して11.5月。
出産から即妊娠にいけないことを考えこれをもう1年として…42年!なんだ…と…!
20歳から妊娠を開始したとして、50人の出産を終えるまでに、トラブルなど抜き、すべて
順調にいって、ざっと今荒く計算しただけでも62歳!その覚悟がアケミさんとやらにはある
というのか…!)
ミド:…カズく~ん。なにフォークくわえたまま目を見開いて、感心したような驚いたような、
なんとも言えない表情しているの~?パスタ冷めちゃうよー?美味しいうちに食べるのが
得なんじゃ無かったの~?お~い?
カズ:(いや待て!ここには双子、三つ子などの可能性が完全に欠落しているではないか!
く…この日比野 和、一生の不覚…。しかしそこまで踏み込むと明確なビジョンが…)
ミド:てい!(カズの眉間にかるくデコピンする)カズく~ん、戻っておいで~パスタ冷め
ちゃうよ~。
カズ:はっ!? あ、ああ、すまん、そうだったな。
ミド:んも~、また何か考え事してたんでしょ~。一体何考えていたのよ?
カズ:ん、あ…いや。子供が50人出来るまで、どれくらいかかるかな~って。
ミド:へ?…ぷっ、あっははははは!だぁから~、あれはアケミちゃんの、「気持ち」!
例えでいっているのよ、それだけ彼が好き!っていうこと。
カズ:ふ、ふむ…例え…か。そっか。う~ん。
ミド:カズくんてば、すぐに数字にして考えちゃうんだから~。でもほんとに50人も子供いたら
毎日がお祭り騒ぎだよね!
カズ:50人…いたら…
ミド:あ!いけない!カズく~ん?
カズ:(子供が50人…両親二人…。両親のご家族にはこの際遠慮して頂くとしても…52人!
どうする!子供一人に1畳のスペースであっても52畳!布団は!?枕は!?食卓は!?
そもそもおじいちゃんおばあちゃんは名前を覚えきれるのか…いやまて!!)
ミド:ほんっとにカズくんは…噛むのも忘れてる…。あたしだけでも食べちゃいますよーっだ。
まったく、まじめというかなんというか…。
カズ:(名前だ、名前はどうする!一郎次郎でも、男女半々でも二十五郎!?それはいかん、
末にいけばいくほどグレる可能性が…。女の子はどうする!?長女はヒトミか?しかし、
漢字によっては仁美で、どっちかというと二人目ではないか…うむむむむ…)
ミド:そおぃ!(チョップ)カ・ズ・くーん。せめて口の中のものをきちんと食べて~。
で、今度は何を考えてたの~?
カズ:いや、50人の子たちの…部屋割りとか…食卓風景とか…。あと名前とか…。あ、それに
祖父母は孫全員の名前を覚えられるのかとか、いろいろ心配になって…
ミド:名前…風景…。ふ、ふふ。あっははは、もーやだ!これ以上笑わせないでよもー!
なんでそこまで真剣に、具体的に考えをもっていけるのよー。ふふふ。
カズ:だって、ほら、大事な問題じゃないか!名前とか、その、将来グレないかとか…
ミド:ちょっとw そんなとこまで考えてたの?ちょっとカズくん…。も、もう…あんまり笑わせ
ないでよぅ…あはは、例え話ってずっといってるでしょ~!w
カズ:そか、あ、うん。そ、そうだよな、例題みたいなもんだよな…うん。
ミド:ほんとにカズくんてば…真面目も行き過ぎると疲れちゃうよ~。旅行とか、きっちり
こまか~く計画練っちゃうタイプでしょ~。
カズ:そうだね。出来るだけ効率よく見て回りたい…し…
ミド:あれ?この話題でもダメなの!?カズくーん?
カズ:(50人の子供を連れて旅行…ん?1年一人なら末っ子1歳でさっきの計算式にあてはめる
ばら長男43歳!?ああうう、いやしかし、親から見れば子供は子供…。しかしどうする?
マイクロバスでも借りるか?忘れ物は?どこいく?いっぺんに温泉とかは迷惑だし…。
下手したら一人か二人、家に忘れてきそうだし、現地に置いてきそうな人数じゃないか!)
ミド:ミドちゃ~ん…ぱーんち!(眉間にぱんち)カズくーん。帰ってきたー?
カズ:いてててて…はっ!俺は一体…何を…。
ミド:カズくん?ここには何をしに来たのかな~?
カズ:いやだから、子どもが50人いた場合だな…。
ミド:美味しいパスタを食べに来たんだよね~?
カズ:あ、そうだな。今取り分け皿を50枚…
ミド:まぁだ戻ってきてないのかな~?ミドちゃ~ん…
カズ:あ、そっか!今はまだ二人か。そか…
ミド:今はまだ…って。んも~、カズくんのバカ/// あたし、50人も産まないわよぉ!
カズ:え?あー、そうか、そうだった。だよなぁ、ははっ。
ミド:ほんと、カズ君てばしっかりしてるんだかしてないんだか~。はい、あーん。
カズ:え、ちょ、恥ずかしいだろ?
ミド:考え事して美味しいパスタを冷ましちゃった罰ですぅ~。ほらぁ、あーん。
カズ:う…ごめんて…。あ、あーん。むぐ…おいひい…。
ミド:ふふ、よく出来ました♪
・・・・・・・・・・・
カズ:あ~、食べた食べた。評判通り、うまかったなー!
ミド:誰かさんのせいで、そのあとの水族館、ゆっくり見る時間は逃したけどね~。
カズ:ごめんって。考えはじめると、ついさぁ…。でも、ミドももっと色々計画的に動くべき
だって!
ミド:考え過ぎて固まっちゃうカズくんには言われたくないもーん!
カズ:ったく。考え無しは危なっかしいぞ~。
ミド:考えすぎはもっと危なっかしいわよ~。
カズ:ほんと、あれ食べたい、ここ行きたい!って感性だけで動くんだからなー、ミドは。
ミド:ほんっと、カズくんは行くなら何時に、どこでこれに乗って~って考えだしちゃって、
結局は動き出すのが遅いんだから~。
カズ:(考え無しで奔放(ほんぽう)で、どっか危なっかしいけど、活動的で明るくて、
俺のことよくわかってくれて…。やっぱ俺、ミドのこと…)
ミド:(考えだしたら止まらなくって、話も聞いてくれなくなって…。けど、あたしの言うこと
を真面目に考えてくれて、大事にしてくれて…やっぱりあたしはカズくんのこと…)
カズ:じゃ、今日は帰ろっか?
ミド:うん!帰ろっ!
(二人、手をつないで駅へ歩いて行く)
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終わり
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