最初の章で話しましたが、私の従兄は自民党代議士でした。また、彼の家系は、代々、代議士であり、彼の父親も数十年歴任した地元民から愛された立派な自民党代議士でした。

従兄と言っても繋がりは、私の亡き父親の兄の娘が代議士に嫁いでからの関係です。

私も親戚として若い時分から選挙の時は良く手伝いをさせられたました。ローラ作戦と言って、くまなく地元の家々に挨拶に廻るのです。各親戚は、候補者の代理として支持者や後援者の家々を廻るのですが、毎回支持者から「頑張れよ」とか「彼しか応援しない」と言われると誇らしく思ったものです。


そんな中、私は大学生となり、長期休みに自宅に帰省した際に、両親に、大学であった前章で記述した数々の霊体験の話しをしたのです。すると母親は「そんなこともあるね」と半理解をしてくれたのですが、父親は「バカバカしい」と言って、話してもからかわれてお終いです。よしえさんの話しをしても「親戚の○○町のよしえの話しか?」と言う始末です。


岩手の大学は英文科でした。また家業の関係で都内の経営専門学校に進学し無事卒業したのですが、地元に帰っても私は相変わらず両親や兄弟姉妹に「よしえさんが」とか「霊体験が」とか話していました。兄弟姉妹は面白がってからかい半分で聞いてはきたのですが、とうとう父親が心配して代議士の筆頭秘書官に相談したのです。


この相談に行った話しは、ずっと後から筆頭秘書官から話されて知った事です。


まあ父親としては心配するのは当然と言えば当然ですよね、大学や経営専門学校に行かせた息子が帰ってくるなり「霊が」とか、終いには霊に名前まで付けて「よしえさん」とか言ってる訳ですから。気がふれたとしか思わなかったのでしょうね。

でも今考えると、父親として少しもの救いは、よしえさんが言っているという物理学理論の部分だったのでは無いのかと思います。私は何とか親に理解させようと必死になっていたので、しっかりその部分も話してましたから。

しかし素人であり、そんな知識も無い父親にそんな専門物理学の話しをしても理解できる訳もありません。しかも当時は、今みたいにインターネットどころかパソコンすら一般家庭にはなかった時代であり、主な情報源はTVか書物、新聞、噂話(笑)だけだったのですから。だからといって代議士の筆頭秘書官に息子のそんな話をわざわざ相談しに行った父親もあの父親らしいと言えば父親らしいのですが。


筆頭秘書官は相談に来た父親に言ったそうです。「それなら代議士の友人に、東大大学院卒の物理学博士がいる。私の見立てでは、彼は日本でも5本の指に入る物理学者だし、非現実な話は一切信じない奴だし、博士に叩き潰して貰いましょう。素人の物理学理論なんて彼からすれば赤子の手をひねるくらい簡単ですよ。彼を議員会館に呼ぶので、あきら君を日を合わせて寄越して下さい。

また霊がどうのこうの言うのなら、公的秘書に神主の息子がいて、彼ならあきら君を論破出来るくらいに神主の勉強をしてるから万全ですよ。」

父親もこの時は、ホッとしたと思います。

つづく


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