アッパー 46 | 自虐ネタはお手の物

アッパー 46

「なんだ、そのお面は」
「なによ、学校にお面被ってきちゃいけない校則でもあるの?」
「面白すぎるぞ。それに声もガラガラだ」
「…カラオケではしゃぎすぎたのよ」
「人が引っ越すって時に、暢気なもんだ」
「あら、ごめんなさい。昨日その話を聞いて、ついつい目出度くなっちゃって。
友人誘って呑めや歌えやの大騒ぎ。ほんの前祝いよ」
「俺、ホント嫌われてるのな」
「当たり前でしょ。うっとおしいことこの上なかったわ」
「やれやれ」
「はぁー。これでようやく平穏が訪れるわ」
「…で、さっきから何を言ってるんだ」
「あんた、引っ越すんでしょ。居なくなって大騒ぎよ」
「三軒となりの新築に移動するだけなんだが」
「……こ」
「…知らなかったのか?」
「このおおおおおお、馬鹿ぁあああああ!」
「うあああ! お面を投げるな! 結構それ角が鋭くて…って」
「ばかばかばかぁ! 死ね! 帰れ! どっかいけぇええ!」
「…お前、なんでそんなに目が赤いんだ?」
「……う」
「泣いてたのか?」
「…っ! う、う、うるさああい! 一晩中流したあたしの涙を返せぇええ!」