点かなくなっていたバイクのウィンカーが、また点いてくれるようになった


球は生きているけど、リレーを交換しても、バッテリーを充電してもダメで、アースの錆びつきや断線箇所も見当たらない

最後に、スイッチボックスを開けて、接点復活材を吹いたら、それだけで、元通り

ただの接触不良



少しホッとして、少し気分が晴れて、同時に、この一連の流れと、多くの故障箇所を抱える私の心の在りようを重ねる


一つずつ、丁寧に、探っていかなければならない

懈怠、絶望、不安、諦観、贖罪、呼吸

それぞれの枝葉を



ふと思い出した

灰になった優しさのこと


私は、悲哀、恐怖、拒絶の炎で、私に与えられた一つの優しさを、焼いた

その灰に塗れて、踠き、這った


夕闇に浮かぶ油に汚れた手を眺めながら

恐らくは気まぐれに

種を蒔こうと思った

あの灰を混ぜた土に

球根でもいい

雨には困らない



自らを抱き締める両腕が、まだ残っているならば

全てを諦めてしまう懈怠の日々、その視界の片隅に、また花が咲くのかもしれない


その花は、ケシの花かもしれない

その花は、造花かもしれない

けれどその花は、青く輝く薔薇かもしれない



あまりにも小さな私でも

今は、諦めないように

もしも花が咲くのなら

スモールウィンカーの光

その明滅する心を繋いで

照らすことが出来るように



青い薔薇か、ケシか、造花か、38口径か

なんだっていい

私のイカれた頭を吹き飛ばす弾丸を込めたリボルバーで

ロシアンルーレットを


バイクに跨って、銃口を咥えて

あとは、引鉄を絞るだけ

大して知りもしないイイ女と、世界一信用ならない自分を信じて



人差し指が、ゆっくりと動き始める